第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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表8.5.3 「ふげん」レベル1PSAにおける成功基準



 「ふげん」特有な配管は、主として確率論的破壊力学評価に基づく結果より発生頻度を算出した。
(ロ)過渡事象の発生頻度
 (a)一般事象
  一般的な過渡事象の発生頻度は、国内の軽水炉(特にBWR)と「ふげん」の運転実績(合計245炉年)に基づいて設定した。
 (b)「ふげん」特有事象
  「重水系の異常」については、「ふげん」特有の事象であり、「ふげん」の運転実績(合計13炉年)に基づいて設定した。
成功基準の設定
 本評価では、別途実施したプラント応答解析結果6)に基づいて、各起因事象発生後における炉心損傷回避のための成功基準を設定した。炉心損傷の判断基準は、現行の決定論的安全評価における判断基準と同様に、燃料被覆管温度を1,200℃とした。成功基準を設定するにあたり、「ふげん」の特徴を以下のように反映した。
 炉心が、独立した2ループで構成されている特徴は、それぞれのループについて、成功基準を設定することで反映した。また、LOCA時の事象推移は、破断ループ側と健全ループ側で異なり、健全ループ
側は、過渡事象時と同様の挙動を示すため、LOCA時の健全ループと過渡事象においては、同様の成功基準を設定した。
 また、これらの配管からの放熱を利用した格納容器空気再循環系による崩壊熱除去を、成功基準として考慮した。
 なお、重水を減速材に用いている特徴は、「ふげん」特有の成功基準として、重水冷却系による炉心冷却効果を期待することで反映した。以上の点を考慮して設定した成功基準を表8.5.3に示す。
イベントツリーの作成
 選定した各起因事象の成功基準に基づいてイベントツリーを作成した。
 イベントツリーの作成にあたり、「ふげん」の特徴を以下のように反映した。
 LOCA時に、健全ループ側で隔離冷却系、余熱除去系による冷却機能を喪失した場合は、破断ループに加え、健全ループでもECCSによる炉心冷却が必要となり、両ループともECCSによる炉心冷却を期待するようなシーケンスとなる。
 このように、「ふげん」は、炉心が独立した2ループで構成されているため、事象推移が複雑になり、事象推移によって、各系統に要求される成功基準が変わる。これを適切に評価するため、本評価では、


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