第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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図8.4.55 システム構成図

を可能にしている。指示計への出力信号更新周期は、1秒、CRT表示の更新周期は、最速1秒とし、運転員が実プラント運転時と比較して違和感を感じないようにしている。また、プラント主要インターロックの動作や重要プロセスパラメータの異常等を、容易に把握できるように、操作盤に132個のハード警報窓を設置し、またCRT警報表示画面に95の警報を発報・表示できるようにしている。
 なお、FATRASは、計算機インターフェイス用としてプロセス入出力装置を有しており、ディジタル入力点(スイッチ接点取り込み用)340点、ディジタル出力点(ランプ・警報窓点灯用)400点、アナログ出力点(指示計出力用)33点の入出力を扱っている。
インストラクターコンソール
 インストラクターコンソールは、インストラクターが、学習者の学習・訓練の進行に合わせて、シミュレータを制御するための装置である。インストラクターコンソールのCRTは、タッチスクリーン付きとし、機器の状態を個別に変更することができ、あらかじめ定めたマルファンクション(模擬異常事象)のほか、任意のポンプの停止等異常事象模擬の範囲を拡大できるようにしている。
計算機システム
 計算機システム(HIDIC V90/50:中央演算処理装置2台)は、プラントシミュレーションモデルの計算、CRT表示制御等の機能を有する装置である。また、計算機システム内で演算しているプラントパラメータ20点を、外部へ出力する端子を設け、試験対象装置を接続することにより、その装置の制御特性検証にも利用することができた。

(4)システムの機能
 FATRASは、プラント起動・停止操作時及び異常事象時のプラント主要パラメータを模擬し、重点的操作学習及びプラント特性の理解力の向上を目的として以下の機能を有している。
ラン/フリーズ機能
 ランは、シミュレータを動かす機能で、フリーズは、シミュレータの動きを停止してその状態を保持する機能である。この機能は、訓練途中におけるインストラクターの説明時、初期状態の更新時等に使用する。
セットバック機能
 運転状態を所定時間前に戻す機能であり、反復訓練を行う場合に有効である。本機能により、2分間隔で最大10分前まで、シミュレーション状態を戻すことができる。
マルファンクション
 プラントの模擬異常事象を発生させる機能であり、機器の故障や事故時の学習・訓練に使用する。マルファンクションは、65の項目が選定されて登録されている。
スケジューリング機能
 マルファンクションの実行や解除を、あらかじめ予約登録する機能であり、多重マルファンクションを発生させることが容易に可能である。スケジューリングケース数は、最大20ケースで、1ケース当たり最大8個のマルファンクションが設定できる。
初期状態登録機能
 機能は、運転訓練過程で、初期状態として保存が必要と判断した場合、長時間を必要とする起動、停止操作等のポイントを短時間で訓練する場合、及び訓練を一度中止したのち、再び継続して訓練を行う場合等に必要な初期状態を登録するものであり、最大30個の登録ができる。
運転員操作記録機能
 本機能は、模擬操作盤の操作面に設置している機器の操作、CRTタッチスクリーン機能による機器の操作を行った時点において、時刻及び操作内容(操作スイッチのON/OFF等)をラインプリンタで自動印字させるものであり操作順序・タイミング等の確認が可能である。
(5)シミュレーションモデル
模擬範囲
 模擬範囲は、給水制御弁切替操作、重水水位上昇・下降操作、ホウ酸濃度制御操作、再循環ポンプ速度



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