第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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ネットワークで表現し、動的なモデルをAI技術であるプロダクションルールを用いて記述し、両者を結合した構成になっている1),2)
「ふげん」のネットワークモデル3),4)
 「ふげん」の燃料交換作業における基本的な「ΦNET」モデルの例を図8.4.40に示す。
 このモデル図は、交換プールにある燃料を、燃料出入機で15分後にトランスファーシュートの上部に移送するモデルである。燃料集合体を交換プールからトランスファーシュート上部に移送する場合、いくつかの運用ルールがある。例えば、燃料出入機が使用可能であること、交換プールラックに燃料集合体を4体以上置かないこと、トランスファーシュート上部に容器があり、物品の受け入れが可能であること等があげられる。これらの運用ルールを、あらかじめ計算機に入力しておき、すべての条件を満足すると、燃料の移送が行われて15分後に完了することを示している。このモデルのネットワークを図8.4.41に示す。移送が開始されると、燃料出入機は15分間の拘束時間があり、この間、他の物品の移送はできないことを示している。
運用ルールの例
 本システムに搭載した運用ルールの数は約160である。以下に主要な運用ルールの例を示す。
)燃料交換プールラックの確保とT/Cの運用
 燃料交換プールは、燃料交換作業時に燃料交換機と燃料貯蔵プールの中継用プールとして使用され、各物品とも交換プール内のラックに収容できる体数に制限がある(燃料体:30体、SH/P:31体、S/P:33体)。
 このため、運転員は、燃料交換作業中、常にラッ


図8.4.40 ΦNETモデル


図8.4.41 ネットワーク図

クにある物品の数を把握し、炉心から取出した物品でラックが一杯にならないよう、また炉心に装荷する物品がなくならないように、T/Cを使用して効率よく物品移送を行う必要がある。
 以下の説明は、通常定期検査時における、燃料取出の際の交換プール在庫量に関するルールの一例である。
(イ)旧燃料、旧SH/P、旧S/Pの各ラックが最低7体空くように移送する。
(ロ)新S/Pラックには、最低18体の新S/Pが収容されているように移送する。
(ハ)燃料装荷前の交換プール収容状態を維持するように移送する。
 T/C下部スイング(燃料貯蔵プール)から上部スイング(燃料交換プール)に、物品を移送する条件を表8.4.1に示す。下部スイングが空いている時、図8.4.42に示すT/C容器の空送り条件に従い、貯蔵プールから交換プールに移送すべき物品がある場

表8.4.1 下部スイングから上部
スイングへの移送条件



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