第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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ここで、
数式(10c),(11a)


ここで、拡張プラントの時定数は、
時定数

である。重みゲインm2及びm3を増加させると、時定数は減少し、外乱に対する水位変動は、早くなると考えられる。操作量の変化、すなわち給水流量の変化からくるゲインは、λ1-1λ2-1に比例する。一方、重みゲインm2及びm3を低下させると、制御入力におけるゲインは増加し、設定値への到達時間は短くなるが、水位のオーバーシュートを招き、水位の整定時間が長くなると考えられる。これらの検討を踏まえて、実機のプラントにおいても、重みゲインm2及びm3(m1は固定)を調整することで、制御システムの応答時間、オーバーシュート及び整定時間を最終調整することが可能であり、実機へファジィ制御システムを導入できると判断した。
実機プラントでの制御パラメータ(重みゲイン)の調整
 上記の検討を経て、「ふげん」の給水制御系へのファジィ制御システムの導入は、推論部(2)及び推論部(3)の重みゲインm2及びm3の調整を行うことを実機での最終調整とした。以下にその結果を述べる。
 各推論部の重みゲインを変化させた時の応答時間とオーバーシュート量の関係を図8.4.19(a)及び(b)に示す。重みゲインの調整の際の目安としては、20mmの水位設定点変更に対する応答をオーバーシュート量5%以下とし、応答時間はできるだけ短いこととした。図8.4.19(a)及び(b)より、推論部(1)及び(2)の重みゲインm2及びm3を増加させると、応答時間が長くなるとともに、オーバーシュート量は減少し、推論部(1)とは逆の特性を有することが分かる。
 7回の調整試験により、図8.4.19(a)及び(b)に示す水位設定点変更における最適な重みゲインを決定した。仮に49個のメンバーシップ関数のすべてを調整する場合、1個のメンバーシップ関数が、1回の調整で設定できると仮定すると、調整に要する時間を約1/7に短縮できたことになる。実際には、より多くの調整回数が必要と考えられるため、重みゲインを調整する方法による効果はより大きいものと考えられる。図8.4.19(b)によると、重みゲインm2及びm3を調整した場合のオーバーシュートに対する感度は、推論部(1)の重みゲインm1を調整するのとほぼ等価であることが分かる。最終的なパ

図8.4.19 応答時間及びオーバーシュートの重みゲイン依存性(実機プラントデータ)


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