第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化![]() |
第 8 章 |
1基ずつ設置されている。冷却水は、各ループごとに3,800t/hの流量で再循環している。入口管を通って圧力管の下方から流入する軽水冷却材は、燃料を冷却し、蒸気と水の二相流(284℃、68kg/cm2)となり、上昇管を通って蒸気ドラムに流入する。蒸気ドラムで分離された蒸気は、タービン系へ送られ、タービン発電機を回したあと、復水器で冷却されて水となり、蒸気ドラムに給水される。この時、蒸気ドラム水位の設定値に合致するように給水流量を給水調整弁により制御するが、この給水制御の制御性を改善するためにファジィ制御を適用した。
(2)ふげんの給水制御系の概要 給水制御系は、蒸気ドラムの水位を設定値に保つため、20%以下の出力時に用いる低流量給水調整弁(LFCV)と20%以上の出力時に用いる主給水調整弁(MCV)により給水流量を調整する。原子炉の運転中、蒸気ドラム水位は、燃料の確実な冷却の確保と水分のタービン系への過度のキャリーオーバーを防止するため、所定の範囲内に維持する必要がある。蒸気ドラム水位が、通常水位から−230mmまで低下した場合や、+200mmまで上昇した場合は、原子炉が自動的に停止(制御棒スクラム)するようになっている。 MCVには、蒸気ドラム水位、給水流量及び蒸気流 |
量を入力する3要素比例積分制御が適用されている。一方、LFCVには、蒸気ドラム水位のみを入力する1要素比例積分制御装置が適用されていた。これは、低出力運転時に、給水流量や蒸気流量が少なく、精度の良い測定ができないことによる。しかし、1要素比例積分制御では、原子炉出力や蒸気流量の急激な変化による蒸気ドラム水位の変化に対し、適切に追従できない場合がある。このため、LFCVの制御性能を改善し、プラントの起動停止時における運転員の負担を軽減させるため、新しい制御システムの開発が望まれていた。 (3)ファジィ制御システムの開発 原子炉の低出力運転中における給水制御操作において、運転員が、主として監視するプロセスパラメータは、次のようなものである。 ・蒸気ドラム水位及び水位変化率 ・MCV及びLFCV並びにタービンバイパス弁(TBV)の開度 ・原子炉出力 運転員が、LFCVを手動で操作する場合は、上記のパラメータから、給水流量と蒸気流量のバランスを見積もり、給水流量を増やすべきか、減らすべきかを決め、それに基づいてLFCVを操作する。そして、LFCVを調整したあとの蒸気ドラム水位の状況 |
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図8.4.15 ファジィ制御システム(FLCS)のフロー線図
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