第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

帯

8


解除か一時解除の復帰かの判断を行い、システムに対して、どちらかの指示を与え、最新のアイソレーション状態への更新を行う。
(ニ)アイソレーション状態管理機能
 アイソレーションの状態管理処理は、管理番号やアイソレーション対象機器を指示することにより、アイソレーションの実施、解除状況、その履歴、タグの発行履歴等がCRT端末上に表示される。
 また、高機能ワークステーション(EWS)では、CRT端末上に表示された系統図の機器の色替えを行うことにより、系統のアイソレーション状態の表示を行うことができる。
)図面入力システム
 アイソレーションや運転管理で使用している系統図をCAD化して、計算機へ登録及び計算機で表示を行うシステムである。本システムは、メーカーから提供されるCADの基本ソフトに機能を付加し、「ふげん」の系統図、単線結線図等の入力及び更新作業を効率化したものである。
(イ)機器登録機能
 系統図及び単線結線図でよく使用する機器(弁、ポンプ、遮断器等)の登録を行う機能である。図面入力時、指定したポイントに登録された機器を自動的に作画し、図面入力の効率を高めたものである。
(ロ)系統図及び単線結線図入力機能
 系統図及び単線結線図の入力に必要な図枠、配管・配線、機器配置、配管機器配置、文字作画等を行う機能である。
)図面情報管理システム
 図面入力システムで入力された系統図上の各シンボル(弁、ポンプ等)とアイソレーション管理システムで使用しているコード情報(機器番号)との情報接続を行うシステムである。これにより、系統図上で指定した弁、ポンプ等の図面情報をアイソレーション管理で使用するコード情報に変換、またはその逆の変換が可能となり、系統図を使用しアイソレーション計画、状態表示等が可能となった。
 本システムは、ホスト計算機(運転管理用計算機)の負荷軽減及び系統図の表示速度の高速化を図るため、高機能ワークステーション(EWS)を使用して処理を可能としている。
(イ)図面情報登録機能
 系統図上の機器等にアイソレーション機器マ
スターの各情報(機器番号、機器区分、機器名称、設置場所、復旧状態)を付加する機能及び付加された情報の表示機能、情報が付加された機器の色替え等の機能で構成されている。
(ロ)図面情報管理機能
 表示中の系統図内で他図面への結合矢印や機器をヒットすることにより関連図面等への切替え表示を行う機能である。
(ハ)アイソレーション計画機能
 高機能ワークステーション(EWS)画面上に表示された系統図上で、アイソレーション計画データを作成後、運転管理用計算機へ転送してアイソレーションの計画及び修正を行う機能である。
(ニ)アイソレーション状態管理機能
 入力された管理番号または系統番号ごとに、運転管理用計算機でアイソレーション状態情報を作成後、高機能ワークステーションへ転送して画面上に表示された系統図の機器の色替えを行うことにより、状態管理を行うものである。
運用実績
 アイソレーション管理システムは、「ふげん」の第8回定期検査(1989年7月19日〜12月21日)において、系統図の使用を除く、すべての機能を使用して、アイソレーション管理業務を行った。この期間に発行されたアイソレーション実施及び解除タグは、約38,000枚であり、この数量からも自動発行による省力化の効果は大きく、また、当初の目的であったアイソレーション管理業務の省力化、合理化、管理の充実、計画の迅速性等は、満足されたと考えられる。
 系統図を利用した図面情報管理システムについても、第9回定期検査での利用を目指して1990年度に開発を実施したが、系統図の表示状態、処理速度及び系統図と機器TAG-No.を結びつける「機器情報」の整備の遅れ等により、現在、図面情報管理システムによるアイソレーション管理の実運用は、未実施である。しかし、平成11(1999)年から本システムのクライアント・サーバーシステムへの移行により、計算機システム等の能力も大幅に改善され、現在、表示状態、処理速度等も改善されて運用可能な状況となっている。実運用は、第17回定期検査着手と重なるため、第17回定期検査後(運転停止後)が最初となる。また、本システムにて入力した系統図等(約200枚)を今後、運転・保守管理及び廃止措置への高度化を図るため、利用していくこととしている。


帯
370

前頁

目次

次頁