第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化![]() |
第 8 章 |
Γ0:付着量初期値( Bq/cm2)
t:EFPH (2)式より、60Coの酸化皮膜への付着速度係数δを下記により求めることができる。 δ={Γ−Γ0・ exp (−λ・t)}・λ/ [R・{1−exp (−λ・t)}] (3) (b)60Co付着速度係数の評価 (3)式を用い下記の入力条件によりδを求めることができる。付着放射能量、炉水中濃度及び付着量初期値(除染後)データは、測定値である。炉水中60Coイオン濃度は、運転期間中ほぼ一定であるため、表8.3.21に示す平均値を使用した。 60Co付着密度推移に、上記データを用いて求めた第15、16サイクルと第29、30サイクルの付着速度係数の計算結果をフィッティングさせた曲線を図8.3.44に示す。 この結果、第15回定検後の第29、30サイクル終了時に相当する約267EFPD時の付着速度係数で比較すると、亜鉛注入をしなかった第15、16サイクルでは5.6cm/h、亜鉛注入をした第29、30サイクルでは1.7cm/hとなり、亜鉛注入により付着速度係数が約1/3になることが分かった6),27)。 |
(5)定期検査作業に伴う被ばく線量 第15回定検で原子炉冷却系B系を除染し、除染後の原子炉起動から亜鉛注入を開始し、第16回定検でA系を除染し、原子炉冷却系全体を除染した。約5か月間の運転後の第17回定検作業に伴う被ばく線量は、図8.3.45に示すように1.3人・Svで、従来の定検被ばく線量2〜3人・Svに較べて、1人・Sv以上の被ばく線量低減を達成することができた。 (6)まとめ 亜鉛注入技術の「ふげん」における適用性を確認するため、各種炉外試験及び短期亜鉛注入試験など約13年間にわたる技術開発を行い、その後、Bループ系統化学除染に合わせて本格的な亜鉛注入を開始し、約4年間にわたり連続注入を行った。 その結果、系統化学除染と亜鉛注入技術を組み合わせることにより、恒久的で効果的なプラントの線量率低減対策が実現でき、有効な被ばく低減対策を確立することができた。
|
![]() |
図8.3.44 系統除染後の再循環系配管への60Co付着速度係数の比較
|
![]() |
352 | ||
![]() |
![]() |
![]() |