第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化![]() |
第 8 章 |
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図8.3.43 原子炉冷却系D-RCP吐出管(Bループ)の線量率推移
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に示す。
図8.3.42より亜鉛注入していない第8回定検時の系統化学除染後と、連続亜鉛注入を開始した第29サイクル以降のデータを比較すると、亜鉛注入を実施しなかった時には60Coの付着量が、運転開始初期、30EFPD程度まで急激に増加(再汚染が進み)し、その後も除々に増加している。亜鉛注入を実施している場合においては、60Coの付着量は、系統化学除染の実施後からほとんど上昇はなく、放射能の付着が抑制されていることが分かる。再汚染率(除染後の60Coの増加付着密度/除染前後の60Co付着密度の差×100)で評価すると、60%から12%に低下し、明らかな60Co付着抑制効果が認められた。 また、図8.3.43により、除染後に亜鉛注入を実施しなかった第8、9回定検時と、亜鉛注入を実施した第15、16回定検時の再循環ポンプ吐出管部の線量率変化を比較すると、亜鉛注入効果が明確に分かる。亜鉛注入をしていなかった場合、線量率は、次の定検時に、除染前の6、7割程度まで上昇し、その次の定検時には8、9割まで再上昇している。一方、第15回定検から亜鉛注入しているB系のデータにおいては、除染後の線量率は、ほとんど上昇せず、表面線量率の上昇が抑制されていることが確認された。 以上の結果から、除染後の亜鉛注入は、機器・配管表面への60Coの再付着を効果的に抑制し、線源状態を低いレベルに維持していること |
が確認された6), 27)。 (ロ)付着抑制効果の検討 除染後に亜鉛注入していない第15、16サイクル(第8回定検後の起動から第9回定検まで)と、除染後に亜鉛注入した第29、30サイクル(第15回定検後の起動から第16回定検まで)の付着速度係数を簡易解析をすることにより、亜鉛注入の有無による配管内面酸化皮膜への60Coの取り込み速度(付着速度係数)を比較した。 (a)60Co簡易解析モデル 下記簡易解析式に基づき、実機データを用いて付着速度係数を評価した。なお、実機データのフィティングで得られる付着速度係数は、付着、剥離過程を含めた、見かけの付着速度係数である。 dΓ/dt=δ・R−λ・Γ (1) ここで、 Γ:付着放射能量(Bq/cm2 ) R:炉水放射能濃度( Bq/cm3) δ:付着速度係数( cm/h ) λ:崩壊定数( 1/h ) (1)式を解いて Γ=Γ0・exp (−λ・t)+ δ・R・ {1−exp(−λ・t )}/ λ (2) ただし、 |
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