第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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図8.3.41 燃料付着クラッドの結晶形態割合

示す。
 炉外試験等とインプラント試験で得られたデータを、比較評価した結果、亜鉛注入環境が、主要構成材料の健全性に対して悪影響を及ぼさないことを確認した。
)燃料被覆管表面付着クラッドの性状
 注入した亜鉛は、燃料被覆管表面や原子炉冷却系機器・配管表面に付着する。そこで亜鉛注入を経験した使用済み燃料集合体(2体)表面の付着クラッド(以下、「燃料クラッド」という)を採取し、その性状を調査した。
 水素注入環境を共通条件として、亜鉛注入を経験

していない使用済み燃料集合体(2体)表面の付着クラッドについても性状を調査し、比較を行った。その結果により以下のことが確認された。
(イ)燃料クラッド酸化物の化学形態割合は、亜鉛注入による亜鉛フェライト(ZnFe2O4)の生成により、スピネル成分の割合が増加している。化学形態割合を図8.3.41に示す。
(ロ)燃料クラッド中の60Coの比放射能の平均値は、2.2TBq/gから2.6TBq/gへと20%程度増加している。これは、亜鉛注入によってCoイオンが燃料クラッド中で安定化され、60Coを含む燃料クラッドが溶出しにくくなったことを示唆している。
(ハ)燃料クラッドの粒径は、いずれも2〜4μm程度であり、亜鉛注入の経験による変化は見られなかった。
)配管付着放射能抑制効果
(イ)実測データ比較
 亜鉛注入を開始した第15回定期検査後の原子炉起動から第16回定期検査まで、Ge検出器により、運転時の60Co付着量を連続的にモニタリングした。また、原子炉の起動停止時には、原子炉冷却系各部の機器・配管表面の線量率を定期的に測定している。
 Ge検出器によるRCP 吐出管部の60Coの付着量測定結果を図8.3.42、原子炉冷却系のRCP吐出管部の線量率を定期測定した結果を図8.3.43


図8.3.42 系統除染後の再循環系配管の再汚染抑制効果


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