第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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用性を確認するため、短期亜鉛注入試験を行い、亜鉛イオンを安定に注入できること、炉水放射能の低減効果があること及びプラントの運転に影響がないことを確認した。これらの結果を受け、Bループの


図8.3.32 亜鉛注入法による線量率
上昇抑制メカニズム

系統化学除染を実施した第15回定期検査後、第28サイクル原子炉起動時の平成11(1999)年8月から、亜鉛注入を開始し、平成15(2003)年3月の運転終了まで、約4年間にわたり連続注入を行った。開発履歴を表8.3.16に示す。
(3)亜鉛注入法の適用性検討
放射能付着抑制効果の確認
 平成2(1990)年から平成4(1992)年にかけて、亜鉛注入による放射能付着抑制効果の確認を炉外試験で実施した。
 試験は、実炉水の水質環境を模擬できる試験装置を用い、実際の炉水を2つのテストチューブライン(SUS316L材の配管1m×2本)に通水し、更に一方のラインに亜鉛イオンを約10ppb注入した。これにより、「ふげん」の水質環境下において、亜鉛注入の有無による比較試験として、ステンレス配管への60Co等放射性核種の付着量の経時変化を測定した。試験装置の系統概要を図8.3.33に示す。また、試験条件を表8.3.17に示す。
 その結果、「ふげん」の水質環境下においては、SUS316L材への60Co付着量は1/2 〜1/3 に低減でき、亜鉛注入による60Co付着抑制効果を確認した。60Co付着量変化を図8.3.34に示す。
原子炉構成材料への影響確認
 海外BWRの経験においては、亜鉛注入による原子炉冷却系構成材料の不具合は、報告されていないが、相当量の亜鉛が燃料棒表面に付着するため、燃料破損の極めて少ない日本で採用する場合は、燃料被覆管等の健全性評価を十分に行う必要があった。
 そこで、平成5(1993)年から平成8(1996)年にかけて亜鉛注入によるプラントへの影響を確認する


表8.3.16 亜鉛注入技術の開発履歴


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