第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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図8.3.27 Aループ系統化学除染時の放射能濃度変化

中間浄化及び最終浄化時においては、導電率を目標水質の導電率10μS/cm以下まで低下させた。
 Aループ除染期間中の除染剤濃度及びpH変化を図8.3.26に示す。
)放射能濃度変化
 除染期間中の放射能濃度変化の一例として、Aループ除染時変化を図8.3.27に示す。酸化除染中は、51Cr濃度の上昇がみられ、Crを含む酸化物が溶解している挙動を示した。酸化剤の分解工程から還元除染工程において60Co、58Co、54Mn、59Fe等の濃度が増加した。これらの溶解挙動は、還元剤によるFe酸化物の溶解が生じていることを示している。
 除染サイクル及びにおける各放射性核種濃度は、やや第サイクルの方が高かった。
 なお、51Cr及び59Feは、ほとんどが3価のイオンとして存在するため、シュウ酸錯体を形成し、アニオンとして挙動する。このため、還元剤分解工程の原子炉浄化系のカチオン樹脂塔通水時には、ほとんど除去できず、カチオン及びアニオン混合樹脂塔(混床塔)通水時に除去できた。
)金属濃度変化
 除染期間中の金属濃度変化の一例として、Aループ除染時変化を図8.3.28に示す。Crは、酸化除染期間中に濃度上昇がみられ、Feは、酸化剤の分解から還元除染初期に濃度上昇がみられた。これらの挙動は、前述した放射能濃度変化とほぼ同等の挙動を示した。
 なお、金属成分のうち、Mn及びKは、酸化除染剤として添加した成分であり、添加した薬品濃度に依存した挙動を示している。
線量当量率変化
 無線式エリアモニタによるAループ除染時の計測結果を図8.3.29に示す。1サイクル目の酸化剤分解工程から還元工程にかけて、線量当量率が大きく低下している。特に顕著なのは入口管であり、1サイクルの除染で大幅に低下した。
 2サイクル目において、下部ヘッダ、マニホールド、RCP吐出管等の線量当量率が、一時上昇するが、還元剤分解工程から浄化工程にかけて低下している。これらの挙動変化は、機器配管付着放射能が溶解剥離し、炉水中の放射能濃度が、上昇することによるものであり、原子炉浄化系樹脂塔通水による放



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