第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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図8.3.15 水素注入による長期的なCo-60濃度の変化

いて低減する手法を主蒸気管の線量率の低減対策の一つとして検討するため、次の試験を平成14(2002)年12月に実施した。主蒸気管の線量率低減の概要を図8.3.16に示す。
 試験は、「ふげん」の主蒸気サンプリングラインから主蒸気凝縮水を試験装置に導き、加熱器にて再沸騰後の蒸気を吸着材カラムに通気し、通水前後のN-13の濃度をGe半導体検出器により測定することにより、主蒸気中窒素化合物の吸着性能を調査した。
 その結果、合成ゼオライト系材料が窒素化合物の減衰時間を維持することができる吸着性能を有していることを確認し、吸着材を用いた主蒸気管線量率低減対策の実機採用の検討を進める上で貴重なデータを得た。
)水素注入によるSCC抑制効果の確認
 最近のBWRにおいては、炉内やその近傍の腐食電位を計測した結果、過酸化水素の影響を無視することができないことが分かってきた。また、短期水素注入試験におけるインプラント試験装置オートクレーブで測定した腐食電位は、再循環配管からのサンプリング配管が長く、測定点までに時間を要したため、炉心で生成される過酸化水素の寄与(腐食電位を上昇)を適正に評価していなかった可能性があった。
 このため、平成15(2003)年1月から「ふげん」の下部ヘッダ近傍の腐食電位を測定し、「ふげん」における20年近くにわたる水素注入によるSCC抑制効果を再評価した。腐食電位測定の系統概要を図8.3.17 に、腐食電位の測定結果を表8.3.5に示す。
 下部ヘッダ近傍配管の腐食電位は、原子炉浄化系入


図8.3.16 主蒸気管の線量率低減の概要


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