第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化![]() |
第 8 章 |
表8.3.4 SUS材以外の構造材のUCL試験の結果
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なお、入口管材は、平成元(1989)年度及び平成3(1991)年度に実施された下部ヘッダ中央部の取替え工事に伴い、16本の入口管材を取り替えている。取り替えられた入口管の全数の内面液体浸透探傷試験及び一部の組織断面観察試験を実施したが、SCC発生の兆候は認められなかった。 ( ![]() 炉外試験としての水素注入模擬環境及び通常水質模擬環境中において、対象材料のUCL試験を実施した。さらに、連続水素注入開始後に、インプラントにおいてもUCL試験を実施した。各材料に対して設計上想定される発生応力から、更にそれを上回る負荷応力条件を設定し、10,000〜25,000時間に及ぶ試験を実施した。試験結果を表8.3.4に示す。いずれの場合においても、破断した材料試験片はなく、構造材料の強度に及ぼす水素注入の影響は、認められなかった。 一方、強度低下の一因となる腐食挙動に及ぼす水素注入の影響を次に示す。 新型転換炉特有の構造部材である圧力管は、BWR |
の圧力容器に相当する機能を有する最重要機器であり、Zr-2.5wt%Nb材が使用されている。一方、燃料被覆管は、BWRと同様の構造及び機能を有しており、ジルカロイ-2材が使用されている。これらの材料は、水素吸収量によっては、靭性が低下する傾向を示す特性がある。 このため、水素吸収量に着目して試験した結果を図8.3.12に示す。水素注入の影響は、両材料とも特に認められず、設計値に比較しても許容される範囲に入っていることが分かる。 また、燃料被覆管材については、図8.3.13に示すように水素注入のない条件の「ふげん」照射燃料P2R及び英国のSGHWRで照射された燃料の照射後試験(PIE)の結果並びに水素注入開始後に「ふげん」の炉内に装荷されたE04燃料のPIE結果が得られ、図8.3.14に示すように、水素注入による燃料被覆管材の水素吸収量に変化のないことが確認されている12)。これは、燃料被覆管の水素吸収は、水中の濃度の高い水素よりも、ジルカロイ自身が腐食する |
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図8.3.12 ジルコニウム合金の水素吸収量
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