第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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図8.3.7 短期水素注入試験により得られたSSRT試験結果

図8.3.8 短期水素注入試験時に使用した3種の電位計によるSUS304材の腐食電位測定結果

であり、米国から報告されたBWRのSCC発生防止臨界電位-230mV(SHE)3)とほぼ一致した。
)プラント運転安全性の確認
 水素注入法をBWRの原子力プラントに適用する場合、水素注入が原因で短期間に発生する事象のうち、特に注意を要する事項として次の2項目があげられる。
・高エネルギーγ線放出核種であるN-16の気液分 配平衡の変化に起因する主蒸気系等の線量率上昇
・プラント内における水素ガスの局所的な滞留に起
因する爆発事故
 N-16の主蒸気側への移行状態をみるため、水素注入試験時に徐々に水素注入流量を増加させ、プラント各部の線量率の変化を監視しつつ、試験を行った。「ふげん」における主蒸気管室の線量率は、最大水素注入時(給水中溶存水素濃度2.8ppm)で、平常時の約5倍程度に上昇したが、運転員の被ばく及び周辺の環境に及ぼす有意な影響は認められなかった。
 水素注入直後の給水ポンプ吸い込み管部等においてサンプリングを行ったが、水素ガスは、給水中に


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