第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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写真8.3.1 六連式引張り機構を装備した
オートクレープ



図8.3.5 水素注入に伴う溶存酸素濃度低減効果

8.3.6に示す。入口管部の溶存酸素濃度を示す下部ヘッダ水中の溶存酸素濃度は、水素注入しない場合は、約80ppbであるが、給水中に水素を1.5ppm程度注入することによって、20ppb以下まで低減させることができる。
 水素注入量を変化させて、溶存酸素濃度の異なる原子炉冷却材中における、延べ108回のSSRTを実施した。走査型電子顕微鏡により、SSRTで破断した試験片断面を観察し、SCC破面率(SCCで破断した部分の面積を試験片の原断面積で除した値)を指標と


図8.3.6 水素注入に伴う溶存水素濃度の変化



写真8.3.2 破断したSSRT試験片の外観



写真8.3.3 水素注入によるSCC破面率の低減効果

して整理した結果を図8.3.7に示す。溶存酸素濃度30ppb以下で、鋭敏化SUS304材のSCC破面率は、通常のSSRTによる測定下限値とされている1%以下まで低下し、更に10ppb以下では全くSCCの発生は認められなくなる。
 図8.3.8示すように、我が国内で研究開発の過程にあった3種の国産電極系を用いて、SCCの発生と密接に関係するSUS304材の腐食電位の測定を行った。この測定により、SSRTにおける溶存酸素濃度10ppbのSUS304材の腐食電位は、-250mV(SHE)



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