第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化![]() |
第 8 章 |
表8.3.2 水素注入法の開発経緯
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スウェーデンのオスカーシャム2号機で試験されるまで、実機に適用されたことはなかった。 昭和55(1980)年に、「ふげん」でSCCが発見されたが、水素注入法は、世界的にも試験段階にあった。水素注入法を「ふげん」に適用するにあたっては、原子炉冷却系の構造が、BWRと異なることに起因する放射線分解反応抑制効果の差異やN-16の主蒸気系への移行挙動の違いを、独自に評価する必要があった。また、水素注入によって溶存水素濃度が増加した冷却材中の、圧力管材料(Zr-2.5%Nb)や燃料被覆管材(ジルカロイ-2)等のジルコニウム合金の材料健全性等を検討する必要があった。 このため、表8.3.2に示すように、水素注入による炉水中、溶存酸素濃度の低減効果、水素注入に伴う主蒸気管線量当量上昇効果の予測解析及び水素注入環境下における圧力管材料、燃料被覆管材料等の材料健全性評価を行うほか、スウェーデンへの現地調査を行うなどの予備調査を綿密に行った。 その後、昭和59(1984)年7月から昭和60(1985)年7月にかけて、「ふげん」における短期水素注入試験を実施した3),10)。この試験結果に基づき、昭和60年12月に、水素の連続注入を開始して、平成15(2003)年の運転終了まで継続した。また、実機と並行して、炉外における各種の材料試験を実施してきた。 ![]() ( ![]() 計算コードにより、水素注入による溶存酸素濃度 |
低減効果の解析を行った結果、「ふげん」の場合、給水系から水素の注入を行うのが最も効果的であり、10Nm3/h程度の水素注入量で、原子炉再循環系における溶存酸素濃度を80ppbから20ppb程度まで低減できる見通しが得られた。 ( ![]() 水素注入による影響が懸念される原子炉冷却系構成材料のうち、主要構成材料に関して文献調査を行った結果、短期的な水素注入によって、これらの材料に異常が発生する可能性がないことを確認した。さらに、長期にわたる水素注入環境下の材料健全性を確認するために、実機炉水環境中におけるインプラント材料試験及び炉外材料試験を実施した。 ( ![]() 「ふげん」への水素注入の適用計画を作成するため、海外先行炉の実績を調査した。スウェーデンAsea-Atom社から、0skarshamn-2号炉における2回の水素注入試験及びRingha1s-1号炉における試験の情報を得た。Asea-Atom社の水素注入試験の結果から、比較的少量の水素注入により、炉水中の溶存酸素濃度を低減することができ、水素注入法が、SCC発生防止法として有効であることを確認することができた。 ( ![]() これらの事前調査によって、「ふげん」においても、水素注入法は、SCC防止技術として有効であり、他の構成材料に対しても悪影響を及ぼす可能性の小さいことが明らかになったため、水素注入を「ふげ |
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