第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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約2時間である。
 軽水化時の重水濃度変化を図8.2.17に示す。
発生する劣化重水量(100%濃度換算)は、約0.6m3であり、これは、開発試験で予測した値とほぼ同等であった。
重水化
 重水化系統図を図8.2.18に示す。
 重水化は、樹脂洗浄塔で洗浄した新樹脂を重水化塔に移送したあと、重水化塔下部より浄化系重水貯槽重水を約0.4m3/hの上向流で供給し、樹脂中の軽水を重水に置換する。この時発生する劣化重水は、軽水化と同様に劣化重水貯槽に貯蔵する。
 重水化塔出口の重水濃度が、系統重水濃度(99.7%)以上になった時点で重水化操作を停止し、重水化塔内の樹脂を重水浄化塔またはポイズン除去塔に移送して樹脂交換作業を終了する。重水化に要する時間は、通水開始から約9時間である。樹脂の重水化曲



図8.2.17 軽水化曲線



図8.2.18 重水化系統図

線を図8.2.19に示す。
 重水化時に使用する重水量は、樹脂移送に使用する重水を含めて約3m3である。
 樹脂の重水化を効率よく行い、劣化重水の発生量を抑制するため、次のような改善を実施してきた。
)重水化時の供給重水の線速度は、開発試験の結果から当初2cm/minとしていたが、実績値の評価に基づき約1.2cm/minとした。
)重水化前に樹脂中の軽水を制御用空気によりできる限りブローする。
)重水化塔上部配管に残留している軽水を制御用空気によりブローする。
)重水化塔下部配管の軽水をブローしたあと、新重水でフラッシングし、重水化塔下部ヘッダの重水濃度を上げ、重水化の効率を高める。
)重水化前、新樹脂を制御用空気によりスクラビングし、樹脂を重水化塔内に均一に分散する。これにより、重水の流れを均一化して重水化の効率を高める。
 この結果、重水浄化系樹脂の重水化時に発生する劣化重水(100%重水濃度換算)は、徐々に低減されて約1.9m3となったが、開発試験で予測した結果より約30%多く発生している。この原因は、実際の重水化塔廻りの配管構造が複雑であるため、残留軽水の影響により結果的に重水消費量が多くなったものと考えられる。
(3)重水濃度測定技術の確立
 重水濃度の測定は、減速材の性能維持のための純度管理はもとより、重水系樹脂交換作業の状態を把握するためにも重要であり、十分な精度と感度を有し、簡便に行うことができる定量法の確立が必要であった。そのため、「ふげん」においては、後述する2つの定量方法を考案し、用途に応じ使い分けて



図8.2.19 重水化曲線



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