第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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図8.2.11 凝縮装置の概念図

 また、水バブラ法による検出下限値は、 1〜7×10-5Bq/cm3−air程度である。
電離箱式トリチウムモニタ
 前述の凝縮法や水バブラ法は、検出感度の高い方法であるが、2〜3日から1週間に1度程度の頻度(放出放射能測定指針で要求している最低測定頻度は、1か月に1回)の評価しかできない。これは、プラントからの放出の状態の確認や、作業環境におけるトリチウム濃度のモニタリングにすばやく対応するものとして適当ではない。このため、検出感度は、1×10-1Bq/cm3−air程度と低いが、電離箱内にサンプルガスを直接導入し、連続的にモニタリングする方法は、トリチウム除去換気系のモニタリングや機器の開放点検を行う際の作業環境の監視等に用いられてきた。
膜分離式トリチウムモニタ
 電離箱式トリチウムモニタは、ラドン、トロン及び
その娘核種等の天然核種の濃度変化の影響を受けるため、検出感度が低くなっている。そこで、トリチウムが、水蒸気として空気中に存在することに注目し、中空糸膜を用いて、妨害核種のラドン及びトロンを分離する高感度モニタを開発した。
 膜分離式トリチウムモニタの概念を図8.2.13に示す。
 中空糸膜は、パーフロロスルホン酸樹脂膜を採用し、400本がフッ素樹脂シェル内に収納されている。膜分離の原理は、ラドン、トロン等を含まない乾燥ガスをキャリアガスとして使用し、サンプルガス中の水分(トリチウムを含んだ水蒸気)が、膜を隔てた水蒸気差圧により、膜を通ってキャリアガス側へ選択的に透過することを利用するものである。
 その結果、空気流通型電離箱式モニタの10倍程度の感度でトリチウムを連続監視できるようになった。このモニタの検出下限値は、機器仕様上7.4×10-3Bq/cm3−airであるが、実用的には、2×10-3 Bq/cm3−air


図8.2.12 水バブラ法の設置例


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