第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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表8.2.4 空気中トリチウム濃度の測定法



施してきた。現在まで「ふげん」で開発、運用してきた空気中のトリチウム濃度の測定法を表8.2.4に示す。また,以下にこれらの測定法の概要について述べる。
凝縮法
 凝縮法は、発電用軽水型原子炉施設における放出放射性物質の測定に関する指針(1978年9月29日原子力委員会決定)(以下、「放出放射能測定指針」という)に準拠した方法であり、図8.2.11に示すような凝縮装置を用い、排気筒排気中の水分を捕集して、液体シンチレーションカウンタで、この凝縮水中のトリチウムを測定し、排気中のトリチウム濃度を評価するものである。
 凝縮水中のトリチウム濃度から排気中のトリチウム濃度を計算する場合は、次の式によっている。また、凝縮法による検出下限値は、2×10-6 Bq/cm3−air程度である。

 CT=CW・K(T)・H・(10-2

 ここに、
 CT:排ガス中のトリチウム濃度(Bq/cm3
 CW:凝縮水中のトリチウム濃度(Bq/cm3
 K(T):温度T℃の飽和状態における空気中の水分の量(g−H2O/cm3−air)
 H:排ガス採取時の相対湿度(%)

水バブラ法
 水バブラ法は、前述の凝縮法のために設置されている凝縮装置が、機器の不調等により作動しなくなった場合のバックアップ用に使用されている。装置は、図8.2.12に示すように約500cm3の水を満たしたガラス容器(水バブラ)の中に、排ガスを通気してバブラ内の水に捕捉されるトリチウムを測定するものである。バブラ水中のトリチウム濃度CW(Bq/cm3)から排気中のトリチウム濃度CA(Bq/cm3−air)を求めるには次式によっている。

 CA=Cw・VC/(VA・ηc)

 ここに、
 VC:バブラに用いた水量(cm3
 VA:試料空気量(cm3
 ηc:捕集効率(0.9:放出放射能測定指針に記される値)



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