第8章 「ふげん」における運転・保守技術の高度化

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図8.2.13 膜分離式トリチウムモニタの概念図

程度まで測定できる。このモニタは主排気筒、重水精製建屋及び廃棄物処理建屋の排気筒トリチウムモニタ並びに重水精製建屋のエリアトリチウムモニタに使用されている。
トリチウムルームモニタ
 トリチウムルームモニタは、可搬型膜分離式トリチウムモニタとして、作業環境のモニタリングを可能にしたものである。検出下限値は,固定型とほぼ同程度である。
ハンディクーラ(氷結法)による測定
 比較的迅速かつ高感度に作業環境のトリチウム濃度を測定するため、ハンディクーラを用いた氷結法により空気中の水分を捕捉し、この中のトリチウム濃度を測定する方法を用いてきた。ハンディクーラは、実験室内の恒温水槽等の温度調整に用いられる冷却器の一種であり、冷却管の表面を−20℃程度まで低下させることができる。このため、これを空気中に曝露して20分間程度稼動させることにより、液体シンチレーションカウンタの測定に必要な2cm3の試料水を採取することができる。この方法による検出下限値は、1.0×10-5 Bq/cm3−air程度である。
除湿器を用いた凝縮法による測定
 定常的な放射線管理においては、1週間程度の作業環境におけるトリチウム平均濃度を測定するため、家庭用の除湿器を用いて空気中の水分を捕集し、液体シンチレーションカウンタで、この水分を測定する方法が用いられてきた。この方法での検出下限値は、1.0×10-5Bq/cm3−air程度である。
(5)防護服の開発
 「ふげん」において開発してきたトリチウム防護服の概要を表8.2.5に示す。当初、加圧服タイプの防護服を採用していたが、脹らみが大きく作業性が悪いため、ウェットスーツタイプに変更し、作業効率を高めた。さらに、通話が可能なようにエアラインマスクをヘルメット式マスクに改良した防護服も採用している。
 ウェットスーツタイプのトリチウム防護服は、ネオプレンゴム製で、図8.2.14に示すように、外部から供給された清浄な空気が、穴を開けたビニール管を通して防護服内面の手、足、頭、背部等に分配供給される構造となっている。この空気分配供給構造のため、通気性が良くなり、防護服着用時の不快感や疲労感が改善された。また、身体へのフィット感があり機能的に優れている。
 この結果、長時間の作業が、トリチウムの防護性能を保ちながら、可能となり作業効率が向上した。
(4)まとめ
 「ふげん」の約25年間における運転実績及び経験から、トリチウムの測定・評価、放射線管理技術の確立を図ることができた。
 特に、トリチウムの捕集・測定技術は、簡便化、高感度化を目指し、「ふげん」独自の開発、改良を重ね、現在に至っている。
 今後とも、今まで培ってきたトリチウム管理技術を活用し、「ふげん」におけるトリチウム被ばくの低減に努めていく必要がある。


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