第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

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評価試験を計画した。
(2)混合転換技術開発試験設備(2kgMOX設備)
 プルトニウム燃料第二開発室にMH法とアンモニア共沈法による混合転換技術開発試験設備(以下、「2kgMOX設備」という)を設置し、昭和54(1979)年4月からウラン試験を行った。また、東海再処理施設から、硝酸プルトニウム輸送容器(収納量4、約1kgPu)により受け入れた硝酸プルトニウム溶液を受入れ、同年7月からこれを用いた研究開発を開始した。
 比較評価試験の結果、MH法は、アンモニア共沈法に比べて工程が単純であり、廃棄物の発生量も少なく、MH法により得られるMOX粉末は、ペレット製造に適していることが明らかになった。
 沈殿法、流動床脱硝法等の混合転換法と比べたMH法の特長は、以下のとおりである。
沈殿法のように、溶液調整(酸濃度、原子価など)が不要であり、沈殿剤を使用しない。
このため、廃液の発生量が少なく(シュウ酸沈殿法の約1/4)、廃液中のPu量も少なく、金属塩などを含まないために廃液処理が容易。
流動床脱硝のようにキャリアガスを必要としないため、廃気発生量が少ない(流動床脱硝の約1/10)。
マイクロ波加熱は、電気抵抗加熱または蒸気加熱方式に比べて装置が小型でシンプルである。
得られるMOX粉末の特性は、ペレット製造に適している。
プルトニウムとウランが分子レベルで均一に混合されているため、プルトニウムスポットが少ない。
MOXペレットの照射によるFPガスの放出率が低い。
MOXペレットの硝酸に対する溶解度は、通常のウラン燃料と変わらない。
 MH法による混合転換技術開発を継続しつつ、「ふげん」用原料粉末に転換したMOX粉末を供給するため、昭和54(1979)年8月から昭和58(1983)年4月までの間、Pu:U混合比1:1の混合転換試験を実施し、1104kgのMOX粉末を製造した。
 さらに、昭和58年4月から昭和59(1984)年11月までの間に、高速実験炉「常陽」MK-用原料粉末として供給するため、Pu:U混合比20:1の混合転換試験を実施し、360kgのMOX粉末を製造した。
(3)プルトニウム転換技術開発施設
 当初、シュウ酸沈殿法によるプルトニウム単体転換技術の開発を計画し準備を進めていたが、日米再

処理交渉の結果を受けて、混合転換施設とするための再設計を昭和53(1978)年12月から開始した。
 プルトニウム転換技術開発施設(以下、「転換施設」という)の設計においては、2kgMOX設備における試験結果を取り入れ、MH法を採用するとともに、再処理施設本体のプルトニウム回収量に見合う10kgPu+U/日(5kgPu/日)の処理能力を有する計画を作成した。さらに、被ばくの低減、臨界事故の防止、環境への影響の低減、保障措置、計量管理についても配慮した設計となっている。転換施設は、東海再処理施設の分離精製工場に隣接して設置することとし、原料の硝酸プルトニウム溶液は、分離精製工場から配管によって供給することとした。硝酸ウラニル溶液の供給は、分離精製工場から配管による供給と外部からの容器による供給が可能な構造となっている。
 転換施設は、昭和55(1980)年8月に着工し、昭和58(1983)年2月に建設を完了している。また、転換したMOX粉末を燃料製造工程へ輸送するため、転換施設の建設と並行してPUCON型輸送容器(収納量12kgMOX)を開発し、製作している。
 昭和58年4月から再処理施設において回収した硝酸ウラニル溶液800(280kgU)を用いたウラン試験を行っている。回収したウラン粉末約220kgは、「ふげん」用燃料4体に使用している。
 プルトニウム試験は、昭和58年10月、分離精製工場から硝酸プルトニウム溶液約300(約50kgPu)を受け入れることにより開始し、昭和61(1986)年8月に、使用前検査合格証を受領した。合格証受領以降、本格的な技術開発運転を開始している。
 今までに、図7.5.3に示すとおり、約13.5トンのMOX粉末を製造している。
(4)転換の方法
 転換施設の主要工程は、図7.5.4に示すように、溶液の受入混合工程、転換工程及び粉末取扱・貯蔵工程よりなっている。
 硝酸プルトニウム溶液及び硝酸ウラニル溶液は、東海再処理施設の分離精製工場より配管にて移送される。1回当たり、硝酸プルトニウム溶液約300と硝酸ウラニル溶液約1m3を移送することができる。硝酸ウラニルは外部からの受入も可能である。
 溶液の受入混合工程は、移送された溶液を受入、計量し、これをPu:U混合比1:1になるように混合する。
 この混合溶液の約8を分取してマイクロ波加熱



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