第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

帯

7


発濃縮し、脱硝塔で三酸化ウラン粉末に脱硝し、専用の容器に収納して貯蔵庫に保管する。
 精製したプルトニウム溶液は、蒸発缶により蒸発濃縮して専用の貯槽に貯蔵したのち、東海再処理施設のプルトニウム転換技術開発施設において、ウラン溶液と混合してウラン・プルトニウム混合粉末(MOX粉末)に転換し、「もんじゅ」や「常陽」等の新型炉燃料製造に供している。
 集合体のせん断によって発生する集合体のエンドピース、溶解後に溶け残る被覆管等は、専用の容器に収納して高放射性固体廃棄物として保管している。
 分離第1サイクルなどから発生する高放射性廃液は、蒸発缶により蒸発濃縮し、高レベル廃液として専用の貯槽に貯蔵している。その一部は、東海再処理施設のガラス固化技術開発施設において、ガラス固化試験に供されている。
 再処理施設において発生する水相の低放射性廃液は、その放射能濃度に応じて蒸発濃縮・凝集沈殿処理を行い、放射性物質の濃度が、基準値以下であることを確認したのち海洋へ放出している。処理後の濃縮廃液及び沈殿物は、専用の貯槽に貯蔵している。
 油相の低放射性廃液(使用済の廃溶媒)は、廃溶媒処理技術開発施設に送り、エポキシ固化等の技術開発に供している。
 低放射性の固体廃棄物は、可燃性、難燃性、不燃性に分類している。焼却する廃棄物は、焼却施設において焼却し、焼却灰及び焼却しない廃棄物は、容器に封入して低放射性固体廃棄物貯蔵庫に保管している。
「ふげん」燃料の再処理方法
 「ふげん」燃料の核物質量は、集合体当たり約150kgであり、燃料の種類から、低濃縮ウラン燃料とMOX燃料に大別される。さらに、MOX燃料は、核分裂物質量により、MOXタイプA燃料及びMOXタイプB燃料に分けられる。各々の再処理施設への受入基準を表7.5.1に示す。
 「ふげん」燃料の集合体形状及び燃焼による性状に基づいた検討を行い、その再処理方法を決定した。
 「ふげん」燃料の集合体断面は、軽水炉燃料の角形ではなく円形であり、燃料の端末部分の形状は、軽水炉燃料と異なっている。このため、集合体を取扱う使用済燃料受入貯蔵及びせん断工程においては、「ふげん」燃料専用のつかみ具、治具等を設けることにより対応した。

表7.5.1 ふげん使用済燃料の受入基準


 化学処理工程以降のプロセス検討においては、低濃縮ウラン燃料、MOXタイプA燃料及びMOXタイプB燃料とも燃焼度が低く、冷却日数も長いため、1日当たりのふげん燃料再処理による入量放射能は、軽水炉燃料再処理に比べて約1/6以下であり、プロセス上の問題にはならないことが分かった。しかしながら、MOXタイプB燃料は、炉装荷時から核分裂性プルトニウムを約1.3%内蔵しており、燃焼によるプルトニウムの減少を考慮しても、軽水炉燃料再処理時におけるプルトニウム量を上回ることになる。これに対応するためには、プルトニウム取扱い工程等の施設を改造し、能力を増強することが必要になる。しかし、施設改造を行わずにMOXタイプB燃料を処理することとし、1日当たりの処理量を低く制限し、さらに溶解液に硝酸ウラニル溶液を加えてウラン及びプルトニウム濃度を軽水炉燃料相当に調整したあと、分離精製工程に供給することとした。
 このような検討の結果、低濃縮ウラン燃料は、1日当たり最大0.7トン(金属ウラン換算)、MOX燃料は、年間最大10トン(金属ウラン・プルトニウム換算)MOXタイプA燃料は、1日当たり最大0.7トン(金属ウラン・プルトニウム換算)MOXタイプB燃料は、1日当たり最大0.43t(金属ウラン・プルトニウム換算)の処理ができることとなった。
(3)「ふげん」MOX燃料再処理の成果
 「ふげん」MOXタイプA燃料の再処理を通じて得られた主要な成果、知見は次のとおりである(表7.5.2参照)。



帯
270

前頁

目次

次頁