第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

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 昭和60年11月に、「ふげん」使用済燃料を受け入れてから平成15(2003)年3月末までに、約109.8トンの「ふげん」使用済燃料を受け入れている。このうち、MOXタイプA燃料は、約22.8トン、MOXタイプB燃料は、約15.8トンである。「ふげん」燃料の再処理は、昭和61(1986)年11月の86−2キャンペーンでのMOXタイプA燃料約5.2トンの処理をはじめとして、平成15(2003)年3月末までに、約70.4トンを再処理している。このうち、MOXタイプA燃料は、約10.5トンである。
(2)再処理の方法
再処理工程の概要(図7.5.2参照)
 原子炉から取り出された使用済燃料集合体は、キャスクに収納されて東海再処理施設に運ばれる。集合体は、燃料取出プールに水没した状態でキャスクから取り出し、次のせん断処理までの間、燃料貯蔵プールに一時貯蔵する。
 せん断処理においては、コンベアによりせん断処理工程のセルに集合体を1体ずつ送り、せん断装置により集合体ごとに約4cmの小片にせん断する。

 せん断された燃料小片は、分配器を経て3基の溶解槽に装荷され、その後、硝酸を加えて加熱することにより被覆管内の燃料が浸出溶解される。溶解液は、少量の不溶解残渣が含まれているため、清澄工程のパルスフィルタでろ過し、不溶解成分を除去する。ろ過された溶解液は、濃度調整を行ったあと、分離精製工程へ送ってウラン及びプルトニウムを回収する。
 溶解液の分離精製においては、抽出溶媒としてTBP(リン酸トリブチル)を用い、抽出器として多段のミキサセトラを用いている。ろ過され、濃度調整された溶解液は、分離第1サイクル(共除染工程)に送られ、大部分の核分裂生成物が除去される。次に、ウラン、プルトニウムを含む溶液は、分離第2サイクル(分配工程)においてプルトニウムの原子価を調整する試薬(還元剤)を添加することにより、ウランとプルトニウムを分離する。分離したウラン溶液及びプルトニウム溶液は、それぞれの精製サイクルにおいて更に精製される。
 精製したウラン溶液は、蒸発缶(2段)により蒸



図7.5.2 東海再処理施設工程図


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