第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

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7.5 再処理実績
7.5.1 はじめに
 東海再処理施設は、我が国初の再処理施設として仏国の技術をベースに設計され、昭和46(1971)年から49(1974)年にかけて主要な施設が建設された。
 昭和50(1975)年から化学試験、ウラン試験を行い、昭和52(1977)年の日米再処理交渉を経て昭和52年9月から原研のJPDR(動力試験炉)の使用済燃料を用いてホット試験を行った。平成15(2003)年3月末現在の累積処理量は、ふげん燃料約70.4トン(うちMOX燃料約10.5トン)を含め、約1,009トンに達している(図7.5.1参照)。
 また、東海再処理施設においては、放出放射能の低減化、回収ウランの脱硝技術開発、マイクロ波加熱によるウラン・プルトニウムの混合転換技術開発、厳しい腐食環境においても適用可能な高信頼性機器の開発、高線量機器の遠隔点検補修技術開発、低放射性廃液の安定固化技術開発、高レベル廃液のガラス固化技術開発、その他運転保守方法の改良、コンピュータを用いた工程管理等の技術開発を行っている。
 国内技術を結集して、これらの技術開発を実施し、また遭遇した様々な困難を克服してきた。これらは、東海再処理施設におけるプラント規模での再処理技術の開発・実証を通じて、機械的前処理と溶媒抽出の組み合わせにより軽水炉及びふげんの使用済燃料

の再処理が十分に可能であることを実証するとともに、再処理技術の国内定着に寄与してきたと考えている。
 さらに、核不拡散条約や日・IAEA保障措置協定に基づく厳正な保障措置・核物質防護を実施するとともに、保障措置技術開発にも取り組んでいる。平成2(1990)年7月、米国において、動燃は、核物質管理学会賞の特別賞(Special Award)を受賞した。これは、非核保有国である我が国の核不拡散と核物質の平和利用への取組が、国際的にも評価されたものと考えている。

7.5.2 「ふげん」燃料の再処理
(1)概要
ふげん燃料の再処理のための設置変更
 東海再処理施設においては、当初は軽水炉使用済燃料を処理対象としていたが、「ふげん」の安定運転及び将来のプルサーマル燃料再処理の技術開発に資するため、「ふげん」の使用済燃料を処理対象に加えることとした。
 このため、昭和59(1984)年8月20日に、再処理施設の設置変更承認を申請した。この変更申請は、まず科学技術庁、引き続き原子力安全委員会において審議され、昭和60(1985)年7月30日付けで内閣総理大臣の承認を受領した。
処理実績



図7.5.1 使用済燃料の再処理実績


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