第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

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ものであった。この対策として、ブラシの押し付け方法を、磨耗しても常時ディスクに一定圧で接触するようバネ式に変更した。被覆管チャック部概略図を図7.4.6に示す。
 もう一つは、被覆管端面部の仕上げ精度の問題であった。通常、被覆管端面部の形状は、端栓嵌合部に合わせR形状に仕上げるが、仕上げバイト先端のR部の磨耗によりテーパ状になり、被覆管と端栓嵌合部に通常より大きな隙間が発生し、これがブローホールの原因となっていた。この対策として、仕上げバイトの使用回数を厳しく管理するとともに、被覆管端面部の仕上げがR形状に加工されていること、または溶接前に端面の全数の形状測定を実施することを行うようにした。
 その他、原因究明のための調査及びこれらに係る各種溶接試験を実施した結果、ブローホールの発生件数は減少した。
燃料集合体組立工程
 燃料集合体組立時に最も注意すべきことは、燃料要素の規定の層以外への誤挿入である。これを防止するため、燃料要素を規定の層以外に入れようとしても、下部タイプレートの穴に下部端栓が入らないようにタイプレート穴及び端栓細径部の径を変え、また、内層、外層の区別が一見して分かるように内層の上下部端栓細径部に溝を入れて誤挿入防止を図った。
(4)検査技術及び品質保証システム
 「ふげん」用MOX燃料製造過程において、ペレッ

ト、燃料要素、集合体の各段階で寸法・密度測定、外観検査、化学分析、物性検査、X線検査、リーク検査等の様々な検査を行った。
 プルトニウムスポットの測定は、MOX燃料特有の検査であり、プルトニウムから放射されるα線によるニトロセルロースフィルムの黒化を利用するαオートラジオグラフィ法を実用化し、プルトニウムスポットの分布を観察した。焼結後ペレットのプルトニウムスポット分布の代表的なものを図7.4.7に示す。なお、プルトニウムスポットの最大寸法の測定は、すべての製造ロットに対して実施した。
 MOX燃料製造に係る品質保証システムは、昭和50(1975)年の「ふげん」初装荷燃料の製造開始に合わせて導入した。当時の動力炉・核燃料開発事業団(以下、「動燃」という)は、「ふげん」初装荷燃料の製造に先立ち、品質保証計画の確立のため、本社及び東海事業所(プルトニウム燃料部及び技術部)による品質保証委員会を昭和49(1974)年7月に設置し、約6か月間にわたって検討を行った。また、この検討の中で、米国エヌ・ユー・エス社(NUS)から、動燃内の品質保証に関する組織、品質保証文書及び製造施設のレビュー並びに品質保証計画書に関するコンサルテーションを受けた。さらに、文書類のレビューが行われたあと、昭和49(1974)年12月に、MOX燃料製造に係る品質保証システムを確立し、本システムに基づく「ふげん」初装荷燃料の製造を開始した。
 平成10(1998)年10月のサイクル機構設立後、東




図7.4.7 プルトニウムスポットとその分布(例)


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