第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

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機構が、独自に開発したマイクロ波加熱直接脱硝法による混合転換粉末、規格外品からの回収粉末、ウラン粉末等の多様な原料粉末の組み合わせにおいて、安定した収率のペレット製造を可能とした。また、次の潤滑材を添加混合する工程において、均質化された原料粉末は、容易に団塊化し、特別な造粒工程を設けずに、ペレット成型時の充てんに必要な流動性を有する粉体を得ることができた4),5)。「ふげん」MOX燃料の原料の構成割合例を図7.4.4に示す。
ペレット成型
 グリーンペレットの密度と直径は、焼結後のペレットの品質を制御するための重要なパラメータである。各製造ロットの成型初期の段階で、成型圧力等の成型条件を決定するためのサンプル採取を行い、グリーンペレットの密度と寸法を測定した。「ふげん」の燃料製造後期におけるグリーンペレット密度の標準偏差は、0.2g/cm3よりも小さく、非常に安定していた。
焼結
 焼結は、密度、O/M比等のMOX燃料ペレットの品質を決定する重要な工程である。ATRラインにおいては、予備焼結と焼結に円筒形のバッチ炉を使用した。このタイプの炉は、製造能力は小さいが、均熱性に優れ、メンテナンスが容易である。
 焼結炉は、グローブボックスの底に連結され、グローブボックスの天井に設置したホイストクレーンによりグリーンペレットを炉に装荷した。焼結雰囲気は、5%水素と95%窒素の混合ガスであり、潤滑剤を除去する予備焼結炉は、200℃/hの昇温速度で昇温、800℃で2時間保持したあと、自然冷却させる条件で運転した。また、焼結炉は、昇温速度400℃

/hで昇温、約1700℃で2時間保持したあと、降温速度600℃/hで降温するという条件で運転した。
 各製造ロットの焼結ペレット密度の標準偏差は、約0.3%T.D.であり、焼結ペレット密度の仕様(95±2.0%)の公差に比べて十分小さい値であった。
仕上げ
 センタレス研削は、仕上工程において最も重要な工程である。「ふげん」の燃料製造においては、すべて湿式研削法でペレットの研削を行った。研削後のペレット外径の標準偏差は、6μmより小さく、仕様(14.4±0.03mm)の公差に対し、十分小さい値であった。なお、研削粉末は、冷却水とともに集め、焙焼・還元後に供給原料の一部としてリサイクルするため、遠心分離機を用いて回収した。
 外周研削後、寸法と密度の測定を実施した。燃料製造の初期においては、手作業で測定を行っていたが、測定作業中の被ばく量を減少させるため、また測定精度を向上させるため、レーザによる自動測定に切り替えた。この経験に基づき、プルトニウム燃料第三開発室において、レーザによる測定が採用されている。
(3)加工組立技術
燃料要素加工工程
 燃料要素加工工程は、定尺切断した燃料要素用被覆管への下部端栓溶接から始まる。この溶接の前処理として、定尺切断したあとの被覆管の内外面をエチルアルコールで湿したガーゼにより洗浄し、また燃料要素番号を刻印した下部端栓をエチルアルコールに浸け、超音波洗浄を行った。この部材洗浄は、溶接欠陥を防止するための重要な工程の一つである。
 燃料ペレットの充てんに当たって、被覆管の開口




図7.4.4 「ふげん」MOX燃料の原料粉末の構成割合の例


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