第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

帯

7


プログラムシステム(MOFPS:Mixed Oxide Fuel Data Bank Processing System)を開発し、運用している。また、MOFPSで計算された標準組成の差に基づき、炉心計算コード(POLESTAR)の基本ライブラリ(格子定数)を補正し、燃料製造時から炉心装荷までの期間により格子定数を補正している。
 また、定期検査等により、数か月の間原子炉を停止した時も同様の事象が発生するため、その期間により格子定数を補正している。
炉心計算コードでの補正
)プルトニウム同位体組成
 「ふげん」に装荷されたMOX燃料のプルトニウム同位体組成を図7.3.13に示す。プルトニウムを抽出した使用済燃料の燃焼度が高いほど、核分裂性プルトニウムの割合及び239Puの割合は、ともに減少する。また、再処理までの冷却期間によって、241Puが崩壊し、核分裂性プルトニウムの割合は、減少するが、相対的に239Puは、増加する。
 「ふげん」が運転を開始した初期の炉心で、タイプA-MOX燃料を使用していたが、そのプルトニウムは、核分裂性プルトニウム割合の比較的高いプルトニウムであった。現在使用しているタイプB-MOX燃料のプルトニウムは、核分裂性プルトニウム割合が70数%のプルトニウムである。また、「ふげん」の使用済MOX燃料を再処理して、プルトニウムを得たが、そのプルトニウムを用いたMOX燃料の核分裂性プルトニウムの割合は、約64%であった。
 このようなプルトニウム同位体組成の変動をカバーするため、プルトニウム同位体組成の格子定数に与える図7.3.13に示す点線で囲んだ範囲の影響を評価し、基準プルトニウム同位体組成の時の格子定数



図7.3.13 核分裂性プルトニウム組成実績

を補正している。「ふげん」は、MOX燃料の母材として天然ウランだけでなく、回収ウランも使用しているため、それらについても同様の補正を実施している。具体的には次式に示すように、任意のプルトニウム同位体組成の格子定数と、基準プルトニウム同位体組成時の格子定数の比で定義されるプルトニウム組成補正係数を導入し考慮している。母材ウラン濃縮度についても、任意のウラン濃縮度の格子定数と基準ウラン濃縮度、すなわち、天然ウラン使用時の核定数の比で定義されるウラン濃縮度補正係数を導入し考慮している。また、これら補正係数は、プルトニウム組成の基準組成との差、燃焼度等の関数で表現している8)

○プルトニウム組成補正係数
 ηPu(Pu,E)=Σ(Pu,E)/Σ(基準Pu,E)
 Σ(Pu,E):任意のプルトニウム組成、
       燃焼度Eの格子定数
 Σ(基準Pu,E):基準プルトニウム組成、
         燃焼度Eの格子定数
 E:燃焼度(GWd/t)

○ウラン濃縮度補正係数
 HU(U,Pu,E)=Σ(U,Pu,E)/Σ(基準U,Pu,E)
 Σ(U,Pu,E):任意のウラン濃縮度、任意のプルトニウム組成、燃焼度Eの格子定数
 Σ(基準U,Pu,E):基準ウラン濃縮度、任意のプルトニウム組成、燃焼度Eの格子定数
 E:燃焼度(GWd/t)

241Puの崩壊と241Amの蓄積
 新燃料の製造から装荷までの期間による241Puの減少、241Amの蓄積による燃料反応度の低下を図7.3.14に示す。一般に、使用済燃料から回収されたプルトニウムが、成型加工され、炉心に装荷されるまでに2〜3年が経過するため、その大きさは約2%程度である。
 また、定期検査等のため、原子炉を長期間停止すると、同様に241Amの蓄積により燃料反応度は低下する。MOX燃料は、ウラン燃料の場合に比べて全核分裂性物質に占める241Puの割合が大きいため、停止期間による燃料反応度の低下も全燃焼期間を通じて大きい。



帯
243

前頁

目次

次頁