第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

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7.3.3 炉心管理コードの開発
 「ふげん」の炉心管理は、燃料取替計画、制御棒パターン計画等の計画作成、それに基づいた運転及び運転を通して得られる各種運転データの収集、運転データと予測値との比較・評価の繰り返しである。「ふげん」の炉心管理においては、「ふげん」が原型炉であるため、特に評価に重点を置いている。その評価結果は、「ふげん」の運転及び次の計画作成に反映している。
 最近の「ふげん」における炉心管理コードシステムを図7.3.9に示す。本コードシステムは、許認可申請時より適宜改良してきた。圧力管形状、カランドリア管形状、燃料集合体形状等の炉心データに基づき、格子計算コードWIMS-ATRにより格子の核定数、集合体内出力分布等を求める。一方、炉心熱水力計算コードHAPIにより、チャンネル流量とチャンネル出力の相関を求める。これらの出力を3次元核熱水力結合コードPOLESTARに入力し、3次元の炉心出力分布等を求める。その他、格子計算コードであるMETHUSELAH-、炉心計算コードであるLAYMONやCITATION、動特性計算コードであるFATRACやFULOS、MOX燃料組成管理システムMOFPS等を用いて「ふげん」の炉心管理を行ってきた。
 各コードの概要を以下に述べる。
(1)格子計算コード
METHUSELAH-
 METHUSELAH-は、クラスター型燃料集合体の単位格子平均核定数を各種炉心状態に対して計算
するコードであり、英国のSGHWR核設計のために開発された公開コードである。「ふげん」においては、許認可解析に使用された3)
WIMS-ATR
 WIMS-ATRは、英国で開発された格子計算コードWIMS-D及びWIMS-D4と、WIMS核データライブラリの改良等を行うとともに、「ふげん」及び大洗工学センターの重水臨界実験装置(DCA)における各種データに基づき、計算精度を評価したコードである。特に「ふげん」の冷却材ボイド反応度係数の計算値は、実側値とよく一致しており、ATR実証炉の炉心設計の冷却材ボイド反応度、冷却材ボイド反応度係数、ドップラー反応度及びドップラー反応度係数の計算に使用されてきた。
 また、WIMS-ATRコードは、WIMS用核データライブラリーを用い、1次元または2次元の任意のエネルギー群数で格子核計算を行って、格子特性を求めたり、格子燃焼計算を実施して、格子定数を作成したりすることができる。WIMS-ATRコードの開発・改良状況を図7.3.10に示す4)
(2)炉心計算コード
LAYMON(ATROPOS)
 LAYMONは、米国で開発され、国内の軽水炉で実績を重ねた3次元核熱水力コードFLARE5)を基に「ふげん」用に開発され、「ふげん」の設計当初から使用されてきた。また、ATROPOSは、プロセス計算機に組み込まれたオンラインのLAYMONであり、炉内の出力分布、燃焼度、熱的制限値等の炉心に関



図7.3.9 炉心管理コードシステム


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