第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

帯

7



図7.3.3 Pu-238,Pu-240,Pu-242,U-236,U-238の核分裂断面積

ながら、「ふげん」では、重水領域において中性子が十分減速されるため、断面積の中性子エネルギー依存症が小さく、炉心特性への影響が小さい。
 プルトニウムは、再処理から抽出されるが、その組成は、炉型及び取出燃焼度により異なり、いろいろな割合で混在している。ATRは、軽水炉に比べ、同一燃焼度を得ることができるプルトニウム富化度が少ないため、240Pu濃度も低い。また、ATRの熱中性子領域における中性子束分布を見ると、軽水炉よりエネルギーの低い方に多く分布しており、また共鳴吸収領域のエネルギーにある中性子が燃料領域
を通過し、熱中性子に減速される割合が、軽水炉よりも小さい。
(2)241Amの蓄積
 241Amは、241Puのβ崩壊(半減期約14.4年)により生成され、その中性子吸収断面積は、図7.3.4に示すように、10Bに匹敵する。MOX燃料集合体中の241Amに起因する炉心特性への影響は、再処理から燃料装荷までの遅れ時間または原子炉停止期間における「241Puの崩壊+中性子吸収物質241Amの蓄積」による反応度の低下として現れ、プルトニウム利用において考慮しなければならない点の一つである


図7.3.4 Am-241及びB-10の中性子吸収断面図


帯
237

前頁

目次

次頁