第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

帯

7



図7.2.3 燃料集合体伸びの燃焼度依存性

でき、またM制御棒で期待する線出力に調整が可能であり、かつ燃焼途中において1体を取出し後も、領域出力のバランスに与える影響が小さい位置であることからである。装荷位置を炉心中央部に決定した。
 タイプ燃料は、炉心の第1領域に偏在させ、当該領域の固有値変化からガドリニア燃料の燃焼特性を評価する趣旨で、第1領域の中央部のLPMを囲む位置を設定した。

7.2.2 プルトニウムリサイクル技術の実証
 「ふげん」は、ATRの原型炉としてATRシステムの成立性を実証するとともに、プルトニウム利用を含む我が国の核燃料サイクル技術の確立と向上を図るという重要な役割を果たしてきた。
プルトニウム利用の実用化には、
・原子炉におけるMOX燃料利用技術
・MOX燃料製造技術と検査技術
・MOX燃料輸送
・MOX燃料再処理技術
などが重要であるが、「ふげん」の運転を通してこれらの技術の確立が実証されたといえる。
 MOX燃料は、東海事業所プルトニウム燃料セン
ターにおいて773体を製造し、このうち772体を「ふげん」に装荷し、MOX燃料利用技術の実証を行ってきた。また、「ふげん」で使用したMOX燃料を再処理して得られたプルトニウムを再利用してMOX燃料を製造し、再び「ふげん」に装荷しており、図7.2.4に示すようなATRの核燃料サイクルの環は完結した。
 「ふげん」に装荷したMOX燃料用のプルトニウムは、初期には、海外の再処理工場で抽出したものを使用していたが、昭和56(1981)年からは、東海事業所再処理工場で軽水炉の使用済燃料から抽出されたプルトニウムを、マイクロ波加熱直接脱硝法によって転換したものを使用した。また、MOX燃料のベースウランには天然ウランに加え、回収ウランも使用した。
 一方、初期に、ウラン燃料用の濃縮ウランは、輸入していたが、昭和57(1982)年からは、人形峠事業所の濃縮プラントで製造された濃縮ウランを使用した。
 このように、「ふげん」は、国産プルトニウム、回収ウランに加えて、国産濃縮ウランの使用実績も積み、我が国の核燃料サイクル技術の確立に大きく寄与してきた。


帯
233

前頁

目次

次頁