第7章 プルトニウム利用技術の確立及び実証

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(1)照射用36本燃料
 「ふげん」においては、実証炉用燃料の照射特性を確認するため、昭和60(1985)年11月(第9サイクル)から照射用36本燃料3体を装荷し、そのうち1体は、平成2(1990)年度の計画停止時に、残りの2体については平成4(1992)年度の第10回定期検査時に取り出した。なお、これらの燃料は、定期検査ごとに炉心より取り出して中間検査(外観・寸法検査等)を実施してきた。燃料集合体伸びの燃焼度依存性を図7.2.3に示した。その結果、伸び等の照射に伴う燃料挙動は、標準燃料と同様な傾向を示し、異常な挙動はなかった。
(2)照射用セグメント燃料
 照射用セグメント燃料は、原子炉出力上昇により生じるPCIを低減させ、原子炉出力上昇率の制限を緩和させる高性能燃料の開発のため、「ふげん」においてベース照射したあと、照射試験炉で出力急昇試験等が実施できる工夫をした燃料である。当該燃料は、ジルコニウムライナ付被覆管と、中空ペレット(ペレットの中心に貫通孔を設けている)等を組み合わせた試験用短尺燃料棒(セグメント燃料棒)を、36本クラスタ型MOX燃料集合体に組み込んだ
燃料であり、昭和62(1987)年3月(第11サイクル)から2体を「ふげん」に装荷し、ベース照射を行った。1体は、第9回定期検査時に取り出し、残りの1体は平成4(1992)年度計画停止時に取り出した。
 取り出した燃料は、照射後試験を実施するとともに、セグメント燃料棒は、照射試験炉において出力急昇試験を行い、負荷変動時等の燃料性能について確認した。ここで得られたデータは、ATR燃料設計コードに反映した。
(3)照射用ガドリニア入り燃料
 照射用ガドリニア入り燃料は、実証炉の取替燃料として高燃焼度化を図った燃料であり、高燃焼度における燃料健全性及びガドリニアの燃焼特性確認のため、平成2(1990)年5月(第15サイクル)に装荷した。照射用ガドリニア入り燃料は、タイプとタイプがあり、その炉心装荷位置は、それぞれ以下のような照射目的にあわせている。タイプ燃料は、炉心中央部、タイプは、炉心の第一領域にあるLPM10-64を囲む位置に装荷位置を決定した。
 タイプ燃料は、燃焼途中及び燃焼後の健全性を評価するためのPIEに供する燃料として、それは、燃料の寿命を通じて、比較的高い線出力密度で照射

表7.2.2 照射用燃料集合体の照射データ



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