第6章 「ふげん」の運転実績

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表6.2.15 定期検査時における機能検査結果


得られ、また吸着性能に大きな影響を与える空気中の水分の除去法の検討を行った。さらに、これと並行して海外の重水炉に関する調査を実施し、その結果、実用上の点から、希ガスホールドアップ装置は、常温・常圧で運転する方が有利なことが分かり、その後の実用試験において、主に常圧での実験を実施した。昭和46(1971)年に、実機の約1/3規模の実用試験装置を設置して、放射性Kr−85及びXe−133による実験を行い、基礎試験の結果とよく一致していることを確認した。そののち、更に耐久試験



写真6.2.9 希ガスホールドアップ装置
(活性炭吸着塔)

を進め、性能劣化のないことを確認した。
 これらの結果に基づいて、「ふげん」に希ガスホールドアップ装置が設置された。
(3)運転及び保守点検実績
 希ガスホールドアップ装置の健全性は、放射線モニターで、排気筒から放出される排ガスの放射能濃度が、放出管理基準値以下であることを常時監視することにより確認し、「ふげん」の運転開始以来、その基準を十分に満足してきた。なお、平成14(2002)年4月の漏えい燃料による活性炭吸着塔入口ガスモニター指示値の上昇の際も、吸着塔出口の放射性希ガスの濃度上昇は認められなかった。また、当該設備の構造上の不具合等はなく、設置以来、改造などの工事も実施していない。
 運転開始以来、供用開始後の性能確認として、年1回の定期検査において系統機能検査を行っており、吸着塔入口露点温度、系統入口流量、排ガスエジェクタ入口圧力の各パラメータが基準値以内であることをもって、系統機能を維持していることを確認した。定期検査における機能検査結果を表6.2.15に示す。
(4)評価
 「ふげん」における希ガスホールドアップ装置の設置により、本装置が、当時のガス減衰タンク方式より、性能が優れていることを実証し、環境への放出放射能量低減の流れの中、国内の沸騰水型原子力発電所において同装置の設置が標準設計となった。



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