第6章 「ふげん」の運転実績

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6.2.8 主蒸気隔離弁
(1)構造及び機能
 主蒸気系は、原子炉内で発生した蒸気をタービンへ導くとともに、原子炉冷却材喪失事故等に通気を緊急遮断する機能を有する。
 通常運転時、原子炉で発生した蒸気は、蒸気ドラムで気水分離され、各ドラムから16本の主蒸気上昇管で取り出されたのち、蒸気ヘッダーで2本の主蒸気管(50%×2系統)にまとめられ、格納容器前後に設けられた主蒸気隔離弁を経てタービン系へ送られる。各蒸気ドラムから出た16本の主蒸気上昇管に蒸気流量制限器が設置され、主蒸気管破断事故が発生した場合に、定格蒸気流量(455t/h/1ループ)の200%以上の蒸気が流れないようにしている。
 この系統は、主蒸気管破断事故時や燃料被覆管破損時等の冷却材喪失や放射性物質放出を防止するため、主蒸気管を緊急遮断する主蒸気隔離弁が設けられている。
 主蒸気隔離弁は、各主蒸気管の格納容器貫通部前後に、それぞれ設け(合計4台)、次のような場合に弁を閉鎖する。
主蒸気管破断事故時等に、原子炉冷却材が、大量に放出されて冷却材喪失事故にならないように、また格納容器内の放射性物質が直接外部に放出されないように、主蒸気管を閉鎖する。
燃料破損時に、放射性希ガスや放射性核分裂生成物が、主蒸気管を通って復水器空気抽出器より大気中への放出を防ぐため、主蒸気管を閉鎖する。
 また、主蒸気隔離弁の全閉試験時に、テストループ側の蒸気を他配管へ流す、蒸気ドラム圧力の上昇を防止するため、主蒸気管連絡管及び主蒸気隔離弁試験用連絡弁を設けた。
 主蒸気系概略系統図を図6.2.20、主蒸気隔離弁概略図を図6.2.21、また主蒸気隔離弁主要仕様を表6.2.12に示す。
 主蒸気隔離弁は、運転中の圧力損失を少なくするため、弁軸が配管に対し45°の傾きをもつY型を採用した。
 主蒸気隔離弁は、空気作動式で、主蒸気管破断事故時等に、原子炉保護系からの破断信号により、空気圧力及びスプリング力により急閉鎖する。また、急閉鎖のほか、通常運転時に弁の健全性を確認するための5%閉鎖、緊急を要しない場合に閉鎖する緩閉鎖の操作機能を有する。弁の駆動用空気は、アキュームレータから供給され、弁の上部に設けられたピストンを押し上げ、弁を開放すると同時にスプリングを圧縮する。弁の閉鎖は、スプリングまたは空気圧のいずれか一方のみでも、十分かつ確実に閉鎖できるため、仮にスプリングが破損しても、機能は損なわれない。


図6.2.20 主蒸気系概略系統図


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