第6章 「ふげん」の運転実績

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写真6.2.5 ポンプ本体分解点検
(インターナル取外し)




写真6.2.6 ポンプ本体分解点検(羽根車組込み)

 羽根車、ケーシング、主軸、軸受、熱遮蔽装置等のポンプ本体(インターナル)の分解点検は、周期を10定検ごとと定め、計画的に実施した。また、供用期間中検査(ISI)計画に従い、各部の検査を実施した。

 分解点検に際しては、作業時の被ばく線量の低減のため、第3回定期検査時に、ポンプ本体の化学除染、第8回、9回、15回及び16回の定期検査時に、原子炉再循環系の系統化学除染を行った。
 点検の結果、特段の異常は認められず、軽微な不具合に対しても、例えば、第15回定期検査での試運転時に発生した熱遮蔽差圧の上昇に対しては、組立時の作業管理を厳しく行うなどの、適切な再発防止策を講じた。
電動機部の分解点検
 電動機部の分解点検は、毎回の定期検査ごとに1台、4定検ごとの周期で実施した。この点検では、電動機の構成装置である軸頂部フライホイール、逆転防止装置、起動用オイルリフト装置及び振動監視計器についても同時に行い、予防保全の観点から各部品の交換等を実施した。
 分解点検の結果、特に異常はなく、健全性を維持できた。また、点検時の被ばく線量低減のため、遮蔽板や遮蔽マットの設置、退避場所の確保等を行い、一定の効果を得た。さらに、電動機のオイルレベルスイッチを、軽水炉で実績のある信頼性・保守性に優れたものに取り替えるなどの改良を施した。
他原子力発電所のトラブル事例の反映
 BWRの原子炉再循環ポンプやPWRの一次冷却材ポンプで発生したトラブルも、「ふげん」の再循環ポンプとの構造等の違いを考慮のうえ、水平展開すべき事項を検討し、定期検査時の点検でポンプの健全性を確認した。
 例えば、BWRの原子炉再循環ポンプの水中軸受及び羽根車の破損について、構造の違いにより、「ふげん」では、同種部品は使用していないが、第8回及び第9回定期検査時に内部部品の点検を行った。また、PWRの一次冷却材ポンプ変流翼取付ボルトの損傷事例は、「ふげん」においては、変流翼は有していないが、第8回及び第9回定期検査のポンプの分解点検時に、ケーシングリング取付用ボルト等の類似ボルトの浸透探傷試験を行い、異常のないことを確認した。
(4)評価
 原子炉再循環ポンプは、プラント運転期間中において停止等のトラブルはなく、安定した運転を継続した。また、定期的な分解点検は、特に機能・性能に影響を及ぼす異常は認められず、その健全性は十分に確保されており、開発にかかわるR&Dの成果が実証されたものと判断できる。


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