第6章 「ふげん」の運転実績

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て各々のポンプの性能試験と耐久試験が行われたのち、分解点検を経て「ふげん」に設置した。
(3)運転及び保守点検実績
 原子炉再循環ポンプは、プラント運転期間を通じて、プラント停止等に至るトラブルはなく、安定した運転を継続した。
 定期検査時に、軸封装置、ポンプ本体、及び電動機の分解点検を計画的に実施した。原子炉再循環ポンプの保守点検実績を表6.2.11に示す。
軸封装置の分解点検
 設備の重要性から、軸封装置の点検周期は当初から2定検ごとと定め、計画的に分解点検を行った。第3回定期検査時まで、No.1〜No.3のシールは、分解点検のつど取り替えたが、点検結果を反映し、第4回定期検査時から、耐用年数の延長化を図った。
 なお、初期の定期検査の経験と最新のPWRの技術動向を反映し、シール機能向上と作業性向上を目的とした軸封装置の改良を実施した。
)No.1シール
 No.1シールは、非接触型の制限漏洩式シールであり、分解点検の結果から、摺動面自体の劣化はなく、良好な状態を維持していることが分かった。しかし、セラミック製のシールリングとリテーナー間に使用した‘O’リングの耐用年数は確認されていなかった(この‘O’リングの交換後は、シール機能確認に大がかりな試験設備を要するため、分解点検時は、工場で調整済のNo.1シール全体を取り替える必要があった)。
 ‘O’リングの耐用年数は、放射線照射に伴う劣化
に大きく依存するものと考え、第3回定期検査時に、実機で2年間使用したもの、並びに新品の‘O’リングを、純水中に浸漬し、実プラントの入口管及び上昇管近傍の高照射線量率下に約2年間放置したのち、硬度や復元力等の評価を行った。さらに、第7回定期検査時に4年間使用したNo.1シールの分解点検を行い、健全性が十分に維持されていることを確認した。
 なお、No.1シールは、4年間の使用にも十分耐えると判断した上で、予防保全の観点から2定検ごとの交換とした。また、第13回定期検査から、長期の耐磨耗力・耐久性の向上を図った改良品を採用した。
)No.2及びNo.3シール
 No.2及びNo.3シールは、摺動式のメカニカルシールであるため、‘O’リングを交換しても性能に影響を及ぼすことはない。このため、第4回定期検査時から、摺動面の摺合せによる再生を行い、再使用を図った。
 再生作業の実績から、No.2シールのカーボン製シールリングは、2年間の運転使用で約30μm、再生作業で約40μmの合わせて約70μm磨耗する。カーボン製シールリングの磨耗代は、1.3mmであるため、18回程度は繰返し再使用できると判断した。
 No.3シールは、通常運転中には動作せず、磨耗はないが、原子炉再循環ポンプ電動機の分解点検時に、系統水流出防止を目的に動作させているため摺合せを念のために行った。摺合せによる磨耗量は、約40μmであるため、30回程度の繰返し使用ができると判断した。
ポンプ本体の分解点検

表6.2.11 原子炉再循環ポンプ保守点検実績



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