第6章 「ふげん」の運転実績

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実施した。
 燃料交換に要した時間は、燃料1体当たり、取出しに4時間、装荷に2時間程度であった。
燃料取扱体数実績
 昭和53(1978)年の燃料初装荷から平成14(2002)年度の計画停止まで、計33回の燃料交換を行い、照射燃料集合体3,285体、新燃料集合体1,461体の合計4,746体の燃料を取り扱った。燃料取扱体数の実績を表6.2.9に示す。
燃料交換装置の分解点検
 燃料交換装置の分解点検は、毎定期検査時に実施し、予防保全の観点から、可動部である伝達チェーン、昇降チェーン、グラブ、グラブホース、軸受を定期的に取り替えた。
 これらの点検作業は、定期検査工程のクリティカルパスである燃料交換作業に影響する。第8回定期検査時に、工程短縮のため、上・下部ヘッド内の駆動機構をユニット化した。それ以降、上・下部ヘッドを取り外して、事前に整備したユニッ卜と一括取替えすることとし、被ばく低減の面からも効果を発揮した。
 また、精密機器のグラブヘッドは、原子炉から持ち込まれるクラッドの影響を受けやすい。不具合を生じたグラブヘッドを、整備済みのものに交換する際、燃料交換装置に取り付けた状態の機能確認が必要であったが、第8回定期検査前に、グラブピストン流量特性試験装置を開発し、整備済みの予備品を単品で試験することが可能となり、保守性が向上した。
除染
 照射燃料/遮蔽プラグやシールプラグに付着したクラッドが、燃料交換装置に持ち込まれ、分解点検時の作業員の被ばく線量を増加させる。この対策として、第4回定期検査までは、圧力容器内の水洗・水置換を行ったが、除染効果に限界があり、第5回定期検査以降は、化学除染及び下部ヘッドに対する発泡除染とジェット洗浄を実施した。
 その結果、主として発泡除染とジェット洗浄を実施し、圧力容器全体の汚染状況に応じて化学除染を行うのが適当と判断し、以後、これによる除染を実施した。なお、第8回定期検査における上・下部ヘッドのユニット化以降は、ジェット洗浄のみを実施した。
燃料移送装置の分解点検
 燃料移送装置は、第17回までの定期検査ごとに、設備の健全性確認と消耗品の取替えを行い、機能の
維持を図った。
不具合事象と対策
 燃料交換装置は、運転初期に主として燃料集合体から剥離し、浮遊するクラッドに起因する駆動部の動作不良等の不具合を経験したが、対策を施した第2回定期検査以降は、順調に運転した。その後発生した不具合に対しても評価及び課題摘出を行い、第11回定期検査時に、次のような改造を施した。
)圧力容器設計条件変更(第4種容器)
)グラブ昇降系簡素化(3連チェーン削除)
)クラッド対策(水洗用のジェットノズル・排水用のドレン穴の改良)
)点検・アクセス性向上(点検窓等の設置)
 改造後の燃料交換は、機械的不具合の発生はなく、良好な運転実績を得た。
 さらに、燃料取扱設備全体を監視制御し、燃料の所在管理や交換計画立案を支援する「燃料取扱設備制御システム」を整備し、運転・保守性の向上と信頼性の向上を図った14)
(4)評価
 「ふげん」の燃料交換は、原子炉停止時に実施された。燃料交換作業は、定期検査工程のクリティカルパスであったため、燃料取扱設備の運転信頼性確保に取り組んだ。
 燃料交換装置は、運転初期に、主として燃料集合体から剥離し、浮遊するクラッドに起因する駆動部の動作不良等のトラブルを経験したが、設備改善によるクラッド対策、運転操作手順改善、不具合機器改造等を実施した結果、その後は順調に運転された。機器のユニット化やグラブ試験装置の導入、除染技術の検討等、「ふげん」特有設備としての保守技術を確立した。

6.2.7 原子炉再循環ポンプ15)-17)
(1)構造及び機能
 原子炉再循環ポンプは、燃料要素と原子炉冷却材との間の伝熱を効果的にするため、原子炉冷却材を強制循環させる機器であり、各ループにそれぞれ2台ずつ設けられている。
 原子炉出力が低下し、給水量が減少すると、下降管からポンプに流入する原子炉冷却材のサブクールが、低下するため、ポンプ回転数を低速にして必要NPSH(有効吸込水頭)を小さくし、キャビテーションを起こさないようにすることとした。このため、ポンプの回転速度の切替えを、駆動電動機の極数変


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