第6章 「ふげん」の運転実績

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図6.2.9 制御棒駆動装置概要図

表6.2.6 制御棒駆動装置主要仕様


胴駆動用の傘歯車ピニオン側に磨耗が認められたが、機能上、問題となるものではなく、またスクラム特性その他の試験結果にも大きな影響はなかった。
(3)運転及び保守点検実績
 制御棒駆動装置が、固着していないことを確認するため、プラント運転中のサーベランスチェックとして、出力調整の目的で作動している以外の制御棒駆動装置について、1週間に1回の頻度で動作チェックを行った。上限のリミットスイッチが、開放されるまでの動作のチェックの結果、異常は認められなかった。

 なお、昭和55(1980)年、制御棒の引抜操作中、駆動電動機電源の欠相により、制御棒が自重で挿入されて原子炉スクラムに至ったため、欠相検出器を追加設置し、中央制御室に警報を発信するようにして、再発防止を図った。
 また、平成12(2000)年4月、制御棒の引抜操作中に1台の差動トランスの信号が、変動して制御棒位置の監視に支障をきたした。調査した結果、使用しているIC回路の異常と判明したため、新たなIC回路を用いた差動トランスと交換した。
 定期検査時は、次のとおり制御棒及び制御棒駆動装置の点検を実施した。
制御棒
 領域出力調整棒は、常時、原子炉内に挿入されているため、中性子照射により中性子吸収体(10B)が消耗して反応度が低下する。「ふげん」においては、制御棒取替基準を、中性子吸収体の有効長を4等分したいずれかの区間で、相対反応度が10%低下した時点(10B燃焼率46%)とし、この基準に達した第8回定期検査時に、領域出力調整棒4本を取り替えた。これ以降は、取替基準に対する余裕を確認できたため、制御棒の取替えは実施しなかった。
 取り出した制御棒は、使用済燃料貯蔵プール内の再使用燃料水中検査装置を用い、水中テレビカメラで外表面の遠隔肉眼検査を行った。その結果、擦り傷が散見されたが、磨耗、ふくれ等は認められず、良好な状態であった。
制御棒駆動装置
)定期検査
 制御棒駆動装置の分解点検周期は、動作頻度の多い4基の領域出力制御棒毎定期検査ごと、また動作頻度の少ない45基の安全棒を5定期検査以内とした。
 定期検査時における点検として、第17回定期検査までに262基の分解点検を実施したが、次のとおり、制御棒駆動装置の性能・機能に影響を及ぼす異常等は認められなかった。
(イ)メカニカルシールは、ヘリウム漏えい検査で管理値を超えたもの、経年使用によりトルクが増加傾向にあるものは取替えを実施した。 
(ロ)ワイヤロープ張力検出用リミットスイッチは、毎定期検査時に3〜4基を交換した。これは、動作上特に問題がなくても、設置された下部ケーシングの環境条件が厳しいため、絶縁抵抗値に多少でも変化があれば、すべて交換することとしたためである。


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