第6章 「ふげん」の運転実績

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に高純度の炭酸ガスを流し、出口湿分を測定することにより、常時、圧力管及びカランドリア管の微小漏えいを監視した。過去、出口湿分に異常はなく、カランドリア管の健全性は維持されていると判断された。
ヘリウム破壊板の調査
 事故時のカランドリアタンクの内圧上昇に対してタンクの保護のために設けたヘリウム破壊坂は、口径が約40cm、板厚が約0.4mmのニッケル合金製であり、余寿命評価の観点から、交換したヘリウム破壊坂の腐食調査、破壊試験等を行った。その結果、異常な腐食や劣化は認められなかったため、毎定期検査ごとの破壊板の交換頻度を、第4回定期検査以降は、2定期検査ごととした。なお、重水の水質の向上策を施した以降に、3定期検査ごとの交換も検討したが、最終的には、2定期検査ごとの交換とした。
(4)評価
 カランドリアタンク及びカランドリア管の漏えい確認試験で、遮蔽冷却水の漏えいは確認されなかった。また、第5回定期検査以降は、重水浄化系への低温化設備追加設置による樹脂の酸化の抑制、イオン交換樹脂の極低塩素化樹脂への変更による重水中アニオン量の抑制の結果、重水の水質が著しく向上し、実重水を用いたホット試験により、応力腐食割れ(SCC)が発生しないことを確認した5)
 以上より、カランドリアの健全性は確保されたものと判断できた。

6.2.4 制御棒及び制御棒駆動装置6)
(1)構造及び機能
 制御棒及び制御棒駆動装置は、制御棒の引抜、挿入駆動及び急速挿入により、原子炉の起動、停止、出力調整及び緊急停止(スクラム)を行う。制御棒駆動装置は、原子炉の緊急停止を行う安全棒用として45基、原子炉の出力を調整する領域出力調整棒用として4基の2種類があり、両者は駆動電動機を除いて同一構造である。制御棒及び制御棒駆動装置配置図を図6.2.7に示す。
制御棒
 制御棒は、ステンレス鋼管製芯棒の周りに外径4.8mmのステンレス鋼管にボロン・カーバイド(B4C)の粉末を充てんした81本のポイズン管を、スペーサを介してバンドで二重に取巻き、締め付け、金具でワイヤロープに連結している。

図6.2.7 制御棒及び制御棒駆動装置配置図

 中性子吸収有効部の上下にそれぞれ4個のガイドローラがあり、炉上部及び重水中の制御棒案内管内を上下動する際の芯出し、振動防止の働きをする。
 制御棒の上部には炉心上部への放射線を遮へいするため遮へいプラグが取付けられている。
 また、下端にはダッシュラム(下部プラグ)を設け、カランドリア下管板の上面に設けられたダッシュポットとの間の動圧抵抗により、スクラム時の落下エネルギーを吸収するようになっている。
 制御棒概略構造図を図6.2.8、制御棒主要仕様を表6.2.5に示す。
制御棒駆動装置
 制御棒駆動装置は、原子炉の上部に設置され、制御棒をステンレス製ワイヤロープに吊るし、これを巻胴により巻き上げ、巻き降ろしを行う電動機駆動−ワイヤドラム方式である。
 通常運転時は、電動機軸より電磁クラッチを介して加減速機構軸、平歯車、メカニカルシール軸、傘歯車を経て、巻胴を回転させ、ワイヤロープに吊るした制御棒を約60mm/secの速度で上下動させる。
 スクラム時は、電磁クラッチを消磁し、制御棒の自重に加え、加減速機構部の圧縮バネで巻胴に加速トルクを与え、スクラムさせる。



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