第6章 「ふげん」の運転実績

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6.1.11 品質保証活動
(1)「ふげん」における品質保証活動の経緯
 安全性の確保を確実に行うために、設計から運転に至る各段階において、発電所としての所定の品質を達成することが重要である。このため、何をどのように実施すべきかをあらかじめ計画し、それに従って実行し、そのとおりに行われたことを確認し、必要に応じてその改善を行うなどの体系的な活動、すなわち品質保証(Quality Assurance)活動(QA活動)が必要となる。
 「ふげん」の設計・建設にあたっては、当時の適用法規及び規格・基準に従うことを原則とし、これに加えて、動燃が、品質保証活動を行うための準拠基準(ATR基準)を定めて品質管理に万全を期した。これらのATR基準は、その後必要に応じて見直しが行われ継続的に適用されてきた。
・配管系の耐震支持設計方針
・配管系の支持装置の施工管理要領書
・ダクトの耐震支持方針
・コンクリート構造物内埋設配管及び埋設金物品質管理基準
・埋設金物施工管理要領書
・コンクリートアンカー施工管理要領書  等
 昭和54(1979)年3月20日、「ふげん」が、本格運転を開始して以降、「ふげん」における品質保証活動は、動燃の「原子力施設品質保証管理規程」に基づくとともに、日本電気協会の電気技術指針(JEAG4101-1981「原子力発電所の品質保証指針」)を参考として、昭和56(1981)年12月8日に制定した「新型転換炉ふげん発電所施設品質保証計画書」(QAP)に基づいて展開してきた。QAPは、「ふげん」の安全を確保する上での重要な施設、系統及び機器の設計、調達、製作、据付、検査・試験、運転・保守から解体、廃棄の各段階並びにそれらの段階における研究開発における管理をどのような考え方で行うかの基本事項を定めたものである。
 昭和60(1985)年、「原子力施設品質保証管理規程」「原子力施設に係わる施設品質保証基本計画書」の制定を契機に、所内全体を包括した品質保証組織への見直しを図り、昭和61(1986)年8月、QAPを所内規則として制定するとともに、昭和63(1988)年、品質保証委員会を発足して、品質保証活動の推進を図ってきた。
 平成10(1998)年10月、新法人への移行、組織改正を機とし、また、従来の「原子力施設品質保証管
理規程」に業務品質の考え方を取り入れて「業務品質管理規程」に全面改正したことや関連規定類の改正を受け、QAPを改定した。
 その後、敦賀本部の組織再編(平成13年10月)やJEAG4101-2000版(平成14年6月)の取り込み等を経て、現在に至っている。
 一方、平成11(1999)年12月に、発電所は、ISO14001(環境マネジメントシステム)の認証を全社に先駆けて取得した。これは、ISO認証制度の社会的な信頼性の高さを評価し、国際性、客観性・透明性(第三者が客観性のある基準で品質システムを保証する)を有した品質保証システムを取り込むことにより、発電所の運転及びそれに続く廃止措置に伴う環境影響を十分に考慮して、環境管理活動を積極的に推進し、継続的な環境改善に努めていく姿勢を示したものである。
(2)「ふげん」におけるQA活動の施設品質方針及び活動実績
 「ふげん」におけるQA活動は、プラント信頼性の維持、向上のため、各系統、機器または部品等が期待された機能を発揮できることを目的としている。このため、十分な信頼性を与えるのに必要な行為を計画的かつ組織的に行うこと、また業務の組織的改善に努めることを施設品質方針としてきた。
 この施設品質方針の展開と取組について、その活動内容を以下に示す。
基本方針
 「ふげん」の品質保証活動は、理事長業務品質方針の「要求品質5項目」に照らして、業務の「質」を改善することを目的として、発電所の施設品質方針を定め、これを適宜改定するとともに、職員等に理解され、実行されるよう周知に努めている。

要求品質5項目

○事故の未然防止
○経営者から現場第一線までの意識・情報の共有化
○適正かつ効率的な業務運営の仕組みの確立
○地元に理解される業務運営
○社会のニーズに即した開発と技術移転



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