第6章 「ふげん」の運転実績

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6.1.10 環境モニタリング
(1)概要
 周辺環境モニタリングとしては、原子炉施設保安規定、地域との協定等に基づき、空間線量率連続測定及び空間積算線量の測定、浮遊じん等の陸上環境試料及び海水等の海洋環境試料の放射能濃度測定を実施している。
 これまでの環境モニタリング結果においては、運転による有意な線量上昇は認められなかったが、昭和45(1970)年以来約10年間に及ぶ中国での核実験並びに昭和61(1986)年4月26日に発生したチェルノブイル原子力発電所の事故の影響により、環境試料中に核分裂生成物核種が検出された。海水及び陸土については、平成14(2002)年現在も、この影響により137Csが有意に検出されている。
 また、ふげん発電所の重水精製装置からの重水微少漏えいに伴い、臨時環境モニタリングを実施したが、周辺環境に影響のないことを確認した。
(2)体制
 昭和50(1975)年4月に敦賀建設事務所運転準備室安全管理班内に環境グループが設置され、昭和52(1977)年11月から、本格的な環境モニタリングを開始した。
 平成4(1992)年4月、敦賀地区の環境モニタリング業務を一元管理するため、敦賀事務所環境安全グループ(現環境監視課)を設置し、その拠点をもんじゅ建設所内に建設した環境管理棟に移し、ふげん発電所及びもんじゅ建設所周辺の環境モニタリング業務を開始した(写真6.1.10)。
(3)環境モニタリングの方法
 環境モニタリングは、環境中における放射線や放射能を測定することにより、環境への影響を確認す



写真6.1.10 環境管理棟外観

ることを目的としており、人体の被ばく線量の算定に重要であり、環境中の挙動を測定できる標準的対象物(生物など)及び核種に着目するとともに、放射性物質の環境における移行状況、長期的観点からの蓄積状況が把握できるように計画した。
 具体的には、空間線量、陸上及び海洋モニタリングに大別される。
 保安規定等に基づく、ふげん発電所における環境監視計画を表6.1.33に示す。
空間線量モニタリング
 ふげん発電所から大気中に放出される放射性気体廃棄物の環境への影響を評価するため、空間線量モニタリングを実施している。空間線量率の変化を測定評価するために、周辺監視区域境界付近、阿曽及び赤崎にモニタリングステーション・ポストを配置し、その測定結果の確認並びに解析評価を行っている。
 また、長期間における空間積算線量を監視するため、熱蛍光線量計(TLD)をふげん発電所周辺に配置し、3か月間の空間積算線量の測定・評価を行っている(写真6.1.11)。
 ふげん発電所周辺の空間線量率及び空間積算線量の測定地点を図6.1.80に示す。
陸上モニタリング
 大気中に放出される放射性気体廃棄物の環境への蓄積を監視するため、浮遊じん、陸土、降下物、陸

表6.1.33 ふげん発電所周辺平成14年度
環境モニタリング計画




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