第6章 「ふげん」の運転実績

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6.1.9 放射線管理
 「ふげん」の放射線管理は、主として国内の軽水炉、日本原子力研究所(以下、「原研」という)及びカナダ等の重水炉の管理技術を参考にその手法を確立し、原子炉施設保安規定に則り、安全なプラント運転と放射線被ばくの低減を図るため、実施している。
 「ふげん」の放射線管理の特徴は、軽水炉と同様に、原子炉冷却系等に生じる60Co、54Mn等の放射性腐食生成物に対する放射線管理に加えて、減速材である重水中のトリチウムによる内部被ばく管理を厳密に行わなければならないことである。
 原子炉冷却系の機器・配管の線量当量率は、運転とともに上昇しており、過去から実施している系統化学除染の実施、遠隔作業の実施、放射線状況の作業者への周知等の被ばく低減努力により、被ばく線量当量を低く抑えるよう努めている。
 また、トリチウムの内部被ばく管理実績については、防護具等の開発・改良または作業方法の改善等の作業管理面におけるトリチウム摂取予防対策により、重水中のトリチウム濃度が、原子炉の運転実績とともに上昇しているにもかかわらず、内部被ばくを十分に低い値に抑えている。
 このように「ふげん」においては、これまでの運転経験を通し、放射線管理技術の開発・改良を図り、重水炉としての「ふげん」独自の放射線管理技術を確立するに至っている。
(1)現場放射線管理
 施設内は法令で定める値〔核燃料物質の加工の事業に関する規則等の規定に基づき、線量限度等を定める告示(線量告示)第2条〕を超える、または超えるおそれのある区域を管理区域として設定し、図6.1.72に示すとおり、線量当量率及び表面密度、空気中の放射性物質濃度の放射線レベルに応じて区域内を細区分している。
 線量当量率が、1mSv/hを超える区域及び表面密度、空気中の放射性物質濃度が法令の10倍を超えるか、超えるおそれのある区域を特別立入制限区域とし、施錠等による立入制限措置を講じることにより、被ばく低減と汚染拡大防止を図っている。
 出入管理については、汚染管理区域の出入口であるアテンダントポイントにおいて入域手続き、個人線量計、防護服等の着用状況を24時間体制で監視するほか、退域時には、上記の防護具等を脱衣していること、体表面の表面密度測定を実施し、その値が法令に定める表面密度限度(線量告示第5条)の



図6.1.72 管理区域間の区域区分基準


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