第6章 「ふげん」の運転実績

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図6.1.61 重水水質実績

欠通水とすることにより、樹脂と重水との接触時間を制限し、重水水質を表6.1.25に示す目標値に保つこととした。この場合、樹脂の損耗が著しく、頻繁に樹脂交換する必要があったため、更なる水質改善を図った。昭和60(1985)年の第5回定期検査時に、重水浄化塔の上流に重水冷却器を追設して樹脂と接触する重水の温度を49℃から20℃まで低下させ、過酸化重水素による樹脂の酸化反応を抑制した。また、樹脂製造過程で残留する塩素を低減した極低塩素樹脂の採用及びヘリウム精製運転の強化により、ヘリウム中の窒素濃度を低減するなどの改善対策を実施した。その結果、図6.1.61に示すように、昭和60(1985)年以降の重水の電気伝導度は、1μS/cm以 下、pDは、中性域に改善され、塩素イオン、硝酸イオン濃度も大幅に低減されて重水水質は、良好に維持されている7)。系統重水中のトリチウムは、大部分が重水を構成する重水の(n・r)反応によって生成している。重水中のトリチウム濃度推移を図6.1.62に示す。
 平成15(2003)年3月末の「ふげん」運転終了時のトリチウム濃度250MBq/cm3と、重水系統の重水保有量125m3からトリチウム量を計算すると、約90gのトリチウムが系統重水中に存在する。
 重水中のトリチウム以外の放射性物質で主要なものは、原子炉冷却系と同じくCo-60で、200Bq/cm3程度の濃度を示している。原子炉冷却材中の濃度に



図6.1.62 重水中のトリチウム濃度の推移


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