第6章 「ふげん」の運転実績

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査を行うとともに、水質改善のための開発試験を行い、その成果として、重水冷温化設備の追設や脱塩素処理樹脂の採用等の対策を実施した結果、水質は良好な基準に維持され、水質管理技術の確立を図ることができた。
(2)原子炉冷却系における化学管理
 「ふげん」の原子炉冷却系の系統概要と構成を図6.1.54、図6.1.55に示す。原子炉冷却材は、入口管より圧力管下部に供給され、燃料を冷却すると同時に、自身は、気液二相流となって圧力管上部に接続された上昇管内を上昇して蒸気ドラムに流入する。原子炉冷却材は、温度284℃、圧力6.8MPaでBWR発電所とほぼ同じ条件で使用されている。原子炉冷却材浄化系は、原子炉冷却材を蒸気ドラムから60t/hで取水し、50℃まで冷却したあと、強酸性陽



図6.1.54 原子炉冷却系系統概要



図6.1.55 原子炉冷却系構成図

イオン交換樹脂0.625m3及び強塩基性陰イオン交換樹脂0.625m3からなる浄化塔2塔で浄化する。浄化された冷却材は、昇圧されて給水とともに蒸気ドラムに戻る。
 タ−ビンで仕事をした蒸気は、主復水器で凝縮され、復水ポンプで昇圧されたあと、全量、混床式復水脱塩器により浄化され、低圧給水加熱器、給水ポンプ、高圧給水加熱器を経て、蒸気ドラムに給水として戻る。混床式復水脱塩器は、それぞれ強酸性陽イオン交換樹脂2.2m3、強塩基性陰イオン交換樹脂1.1m3からなる粒状樹脂脱塩器4塔により構成している。過去、3塔通水、1塔予備の運用であったが、クラッド除去効率向上を目的に、4塔の復水脱塩塔で処理している。
 復・給水系配管は炭素鋼配管で構成されており、酸化皮膜を維持し、腐食を抑制するため、0.024m3/h程度で酸素注入を行い、給水中酸素濃度が、20〜60ppbになるようにしている。酸素の注入点は、昭和62(1987)年まで、復水脱塩器出口としていたが、水素注入開始後は、復水の溶存酸素濃度が、20ppb程度から5ppb以下まで低下し、復水脱塩器まわりの炭素鋼配管を保護する必要があったため、復水脱塩器入口側に変更した。また、水素は、給水ポンプの上流から27Nm3/h(2.6ppm)程度で注入されている。ただし、水素注入によって、給水中の溶存酸素濃度に変化はなく、前述の酸素注入の効果が相殺されることはない。
 放射性腐食生成物が原子炉再循環系配管に付着することによる配管表面の放射線量率上昇を抑制するため、平成11(1999)年8月から復水脱塩器出口より亜鉛注入を行い、炉水中亜鉛濃度が、5〜7ppbになるようにしている。
(3)原子炉冷却材の水質管理実績
 「ふげん」の原子炉冷却材の管理目標値を表6.1.24に示す。また、「ふげん」の運転開始以来の水質実績を図6.1.56に示す。
水質管理実績


表6.1.24 原子炉冷却材の管理目標値






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