第6章 「ふげん」の運転実績

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じる劣化重水には、高濃度劣化重水(約95%)と低濃度劣化重水(約30%)があり、通常、1塔の樹脂交換において合せて2.0〜2.5トンが発生する。これらは、それぞれA劣化重水貯槽(高濃度用)及びB劣化重水貯槽(低濃度用)に貯蔵される。高濃度劣化重水は、適宜、A劣化重水貯槽からドラム缶に抜き出され、重水精製装置供給用とされる。
 系統重水の水質管理のため、毎月定期的に10〜30kg程度、系統重水のサンプリングを行う。樹脂交換の行われた時は、100〜150kgの重水をサンプリングする。年間の使用量は、約0.5トン程度となる。これらの重水は、B劣化重水貯槽(低濃度用)に貯蔵される。
重水精製実績
 昭和54(1979)年、重水精製装置が、運転を開始し、高濃度劣化重水を処理し始めた。設計上は、約95%の劣化重水を年間5トン処理し、4.4トンの精製重水(99.8%)を得る能力を持っている。昭和54年に、97%の劣化重水を処理したため、多くの精製重水を得ることができた。上記の処理により発生した90%前後の劣化重水を処理するため、処理能力及び得られる精製重水の量は低下したが、昭和62(1987)年に、重水精製装置が運転を開始し、低濃度の劣化重水を処理できるようになった。このため、2つの装置を運転することにより、効率の良い重水精製計画を立てられるようになった。「ふげん」重水管理実績を表6.1.23に示す。
重水移動管理
 重水の保管区分は、原子炉施設及び重水精製施設である。各施設で重水を受入れ・払出しする場合の計量管理は、「重水移動申請・許可・報告書」に移動量、移動目的、重水濃度、容器番号等を明記することにより行っている。新重水受入時に、重水ドラム缶の外観検査、漏水の有無の確認を行うとともに、重量を測定し、出荷時の重量と差異のないことを確認している。
 また、受入時の分析において、重水濃度、電導度、トリチウム濃度、塩素濃度等の測定を行い、所定の仕様を満足することを確認している。また、原子炉施設において、重水サンプリング等により、重水の区分変更、濃度変更、貯蔵場所の変更に伴う重水移動を行う場合の重水計量管理は、各作業ごとに重水移動量、重水濃度、劣化重水発生量とその濃度、重水貯槽水位、劣化重水貯槽水位を測定・記録してい
る。重水濃度の測定は、近赤外域における光の吸収を利用した「吸光光度法」を用いている。
重水在庫管理
 重水の保管は、主としてステンレス鋼製のドラム缶を使用し、重水移動時は、このドラム缶番号で管理している。毎月末に、当月内の重水移動量等を記録するとともに、重水区分、濃度、貯蔵場所ごとの重水在庫量を確認している。また、各施設にある重水タンク類の水位計を、年1回チェックし、当該容器内重水保有量を確認している。

表6.1.23 重水管理年度実績




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