第6章 「ふげん」の運転実績

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6.1.6 重水管理
(1)概要
 「ふげん」で保有している重水量は、約195トン(100%重水換算値)であり、このうち、約160トンの重水が系統に装荷されている。これらの重水は、外国から輸入したものである。
 プラントの運転に伴って、重水浄化系の樹脂交換が行われ、純度の低下した重水(劣化重水)が発生する。初期にはこの分を賄う補給重水を輸入していたが、昭和54(1979)年に劣化重水を精製する重水精製装置及び昭和62(1987)年に、重水精製装置の運転を開始したため、「ふげん」における重水運用サイクルが確立し、昭和58(1983)年以降、補給重水を輸入する必要がなくなった。重水運用サイクルを図6.1.52に示す。
(2)計量管理
 重水は、当初原子炉施設及び重水建屋において使用されており、国際規制物質に位置付けられて、これに伴う計量管理を行っていたが、昭和63(1988)年7月17日の新日米原子力協定の発効に伴い、法律が改定され、国への報告は必要なくなった。しかし、引き続き、本社保障措置室へ自主的な管理として報告を実施している。
 重水は、「ふげん」において計量管理上、装荷重水と装荷されていない重水とに区分され、後者は、更に未使用重水(精製重水も含む)と回収重水に区分される。重水計量管理上の重水区分とその定義内容を以下に示す。
装荷重水
 重水系統に充てんされている減速材としての重水であり、重水貯槽A、Bに貯蔵されている重水を含
む。
未使用重水
 装荷重水より重水濃度が高く、樹脂交換用として使用可能なものであり、重水精製建屋における精製重水を含む。
回収重水
 樹脂交換、サンプリング、重水系機器点検等により発生した劣化重水で、重水劣化貯槽A、B、ドラム缶等に回収されたものであり、重水精製建屋における精製重水以外の重水を含む。
(3)重水管理実績
重水購入実績
 初装荷用重水は、昭和51(1976)年度2回に分けて、西ドイツのカールスルーエ研究所から購入したアメリカ国籍重水約160トンをドラム缶で搬入し、固体廃棄物貯蔵庫に仮貯蔵した。
 初装荷以降、補給用重水として、アメリカから約17トン、ノルウェーから約16トン、中国から約5トンを購入した。
 昭和54(1979)年からの重水精製装置の運転及び昭和62(1987)年からの重水精製装置の運転により、精製して劣化した重水を再利用できるようになったため、昭和58(1983)年以降は、補給用重水を購入していない。
劣化重水発生実績
 「ふげん」において劣化重水は、重水浄化塔及びポイズン除去塔の樹脂交換作業及びそれに伴う重水濃度測定のためのサンプリング、定常の重水水質管理のためのサンプリング並びに、重水系機器の定期的な分解点検時に発生する。
 樹脂交換時の樹脂の重水化及び軽水化によって生



図6.1.52 「ふげん」における重水運用サイクル


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