第6章 「ふげん」の運転実績

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冷却材温度係数は、炉心構成(燃料の種類、燃焼度)に依存することが分かっている。第9サイクルにおいては、炉心平均燃焼度が、高いこと及びMOX燃料が、多数装荷されたことによって、サイクル初期におけるプルトニウムの量が多くなった。熱中性子に対する核分裂断面積が、ウランに比較して大きいプルトニウムが多く存在したため、冷却材の温度上昇に伴い、冷却材に吸収される中性子数が減少したことにより、冷却材温度係数が正になったと考えられる。同図に示すように、その後の第10・11サイクルにおいては、ほぼ零であると評価された。
40%出力時の炉心管理
) 制御棒反応度価値測定
 40%出力保持中の制御棒パターン形成時を利用し、制御棒の反応度価値測定を実施してきた。これは、制御棒パターン形成のためポイズンを注入することによって、制御棒を引き抜いている。このときの操作に利用する制御棒の反応度価値を測定するものである。LAYMONコードの結果と比較して、第6サイクルにおいて実施したJ制御棒の反応度価値測定の結果を図6.1.25に示す。同図に示すように、解
析値は、精度内でよく一致している。「ふげん」の制御棒反応度価値曲線は、20%〜75%の範囲でほぼ直線であり、軽水炉のようなS字カーブにはなっていない。これは、「ふげん」の軸方向中性子束分布が、平坦であることを示している。
) 再循環ポンプ切替え
 40%出力保持時間は、約40時間としているが、これは、起動後のキセノンの飽和を待ち、炉心の安定化を図った上で、再循環ポンプ(RCP)の切替え時の制御棒パターンを形成するために実施してきた。第8サイクルまでは、45%出力時において、RCP切替えを実施していたが、RCPを低速から高速に切替えた際に、炉心内のボイドが排出され、冷却材によって減速される中性子数が、増加したことにより、炉心に反応度が投入され、中性子束が60%以上となったため、スクラムした経験がある。したがって、これ以降、更に5%の余裕を持たせ、40%出力でRCP切替えを実施してきた。
) 冷却材ボイド反応度係数の評価
 再循環ポンプ切替え時における炉心状態の変化を利用して、ボイド反応度係数の評価を実施してきた。


6.1.25 6サイクルホットJ制御棒反応度曲線


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