第6章 「ふげん」の運転実績![]() |
第 6 章 |
原子炉起動時の制御棒引き抜き時に、万が一の起動事故が発生した場合においても、燃料の健全性を確保するため、制御棒1本当たりの反応度価値が、0.015Δk/k未満になるような制御棒引き抜き手順が決められている。これを担保するため、約35%炉出力以下においては、あらかじめ定められた制御棒引き抜き手順に従わなければ、制御棒が引き抜けないように制御棒引き抜きシーケンスを用いており、これによって誤操作を防止している。また、燃料取替によって、制御棒の反応度価値が変化するため、制御棒1本当たりの反応度価値が、0.015Δk/k未満であることを計算によって毎サイクルごとに確認してきた。なお、上記制限値を満足できない場合は、制御棒引き抜きシーケンスを変更する必要が生じるが、これまでの実績によると、こうした理由によって変更されることはほとんどなく、定格運転時の制御棒パターン形成を考慮して、最も合理的な引き抜き順序になるように決定することが多い。これは、平衡炉心においては、新燃料が、分散90度回転対称取替方式によって装荷され、炉心全体の出力分布が、比較的平坦になっているため、制御棒1本当たりの反応度価値が、0.015Δk/k以上になる可能性が少ないためである。
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![]() 「ふげん」における原子炉起動時の臨界制御棒位置の予測は、炉物理試験時の臨界制御棒位置測定結果から精度よく予測することが可能であり、安全かつ効率的な制御棒引き抜き操作により、臨界を達成することができる。 ( ![]() 核加熱時における出力制御は、制御棒で行うが、出力上昇率は、冷却材温度の変化率(55℃/h以下)によって制限されている。これは、炉心周りの配管等に対する温度変化を緩やかにし、設備の健全性を維持するために採られている措置である。上記の制限値を満足するため、「ふげん」においては、30℃/hを目標として核加熱を行っている。冷却材温度250℃以上においては、15℃/hにし、プラントが安定した状態で定格圧力の飽和温度(283℃)に到達し、整定するように配慮している。第5サイクル核加熱時の冷却材温度、制御棒位置、重水温度の変化の実績を図6.1.22に示す。同図に示すように、冷却材温度は、約30℃/hでほぼ一定に上昇し、炉心は、安定に制御されていることが分かる。 ( ![]() 核加熱時の制御棒操作は、これまでの実績におい |
図6.1.22 第5サイクルBOC、原子炉冷却材・重水温度及び制御棒位置の変化 |
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