第6章 「ふげん」の運転実績

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6.1.17に示す。この炉物理試験において、ポイズン注入操作により、炉内10B濃度を以下の5段階に調整し、各10B濃度における制御棒引き抜き操作により、順次、臨界を達成する。
前サイクル原子炉停止時の炉内10B濃度
POLESTARコードによる今サイクル定格運転時の予測炉内10B濃度(原子炉起動時10B濃度)
LAYMONコードによるE制御棒40%位置における予測炉内10B濃度
LAYMONコードによるE制御棒65%位置における予測炉内10B濃度
LAYMONコードによるM制御棒70%位置その他制御棒全引き抜きにおける予測炉内10B濃度(最大過剰反応度測定)
 は、炉物理試験の第1回目の臨界点であり、前サイクル原子炉停止時の炉内10B濃度(通常のサイクルでは約0.3ppm)において行うため、炉心の有する反応度は当該サイクルにおいては最大の状態である。このため、原子炉ペリオド、起動用出力検出装置(SUM)の指示値を注意深く確認しつつ、制御棒引き抜き操作を行い、臨界を達成している。第1回目の臨界達成後に、LAYMONコードによる臨界制御棒予測位置と実績値を評価し、LAYMONコードの予測臨界固有値(原理的に、中性子の生成と吸収の比であるため、臨界時に1となる。一方、計算コードの臨界固有値は、計算コードの精度に依存するため、通常1から若干ずれた値をとる)の補正を行う。これにより、第2回目以降の臨界制御棒位置の
予測精度が向上する。
 は、炉物理試験の第2回目の臨界点であり、炉心の寿命予測に使用しているPOLESTARコードによる今サイクル定格運転時の予測炉内10B濃度(通常の180日運転では約5ppm)において行う。原子炉起動時の炉内10B濃度は、この今サイクル定格運転時の予測炉内10B濃度に調整されている。これは、「ふげん」においては、燃焼に伴う反応度補償を10Bにより行うため、原子炉起動時に、その燃焼反応度補償分の10Bを炉内にあらかじめ投入しておくことによる。したがって、第2回目の臨界達成後、LAYMONコードによる臨界制御棒予測位置と実績値を評価することにより、実際の原子炉起動時の臨界制御棒位置を正確に予測することが可能となる。
 及びの臨界点における実績のE制御棒位置と炉内10B濃度測定値から、E制御棒価値を評価する。これにより、定格運転時に出力微調整(自動制御)用として炉内に部分的に挿入されているE制御棒価値を事前に評価することが可能となる。
 は、最大過剰反応度測定のための臨界であり、M制御棒70%位置以上その他制御棒全引き抜きとし、炉心の有する過剰反応度のほとんどを10Bで置換した状態となっている。この状態における10B濃度、M制御棒位置、重水温度、冷却材温度のパラメータをLAYMONコードに入力し、全制御棒引き抜き、炉内10B濃度0ppmにおける炉心の有する最大過剰反応度を計算により求める。「ふげん」においては、最大過剰反応度検査は、原子炉等規制法に基づ

図6.1.17 炉物理試験工程


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