第6章 「ふげん」の運転実績

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れており、そのうち、220体は、標準燃料集合体または照射用燃料集合体であり、残り4体は、圧力管監視試験片を組み込んだ特殊燃料集合体である。
 制御棒は、49本あり、A〜Mまでのグループ名称が付けられている。さらに、A〜L制御棒は、炉心の4つの領域に1本ずつあり、4本で1つのグループとなっている。それぞれの領域の制御棒に番号を付けており、例えば、第1領域のE制御棒は、1E制御棒と呼んでいる。M制御棒は、炉心の中心部に位置するために番号は付けていない。定格運転中は、出力微調整用のE制御棒を60%〜70%の位置、C制御棒を65%位置の以上、その他の制御棒を全引き抜き位置(100%位置)で運用している。炉心管理の便宣上、炉心をM制御棒を軸とする90度回転対称の4つの領域に分けて考えている。
 局部出力検出装置(LPM)は、炉内に16体を固定で装荷している。1体のLPMは、4個の素子からなり、それぞれの素子は、電極に234Uと235Uを塗布した核分裂電離箱である。LPMからの信号を利用して、原子炉運転中の出力レベルの監視や熱的制限値の監視を行っている。
 起動用検出装置(SUM)は、炉内に4個挿入されており、原子炉停止中及び原子炉起動操作時の未臨界状態から臨界状態に至るまでの中性子束レベルの監視に用いられている。通常運転中は、炉心から引き抜かれている。ゼロ出力時の反応度投入事象防止のため、原子炉起動時においては、SUM高高(5×105cps)でスクラムするようになっている。
 出力上昇用検出装置(PUM)は、炉内に6個挿入されており、原子炉起動操作時及び停止操作時の臨界状態から約10%炉出力までの中性子束レベルの監視に用いられている。通常運転中は、炉心から引き抜かれている。低出力時の反応度投入事象防止のため、原子炉起動操作時及び停止操作時においては、PUM高高(フルスケールの95%)でスクラムするようになっている。
(3)燃料取替計画
 燃料取替計画は、炉心管理・燃料管理の中で最も基本となるものである。「ふげん」は、原型炉であるため、単純に経済的な運転だけではなく、照射炉としての役割が課せられているのが特徴である。燃料取替計画の基本的な考え方を以下に示す。
a. 運転操作の観点より、分散90度回転対称取替方式を基本とする。
b. 発電所の運転計画から要請される所定の炉心寿命
を満足する。
c. 燃料の熱的制限値を満足する。
d. 燃料の有効利用を図る。
e. 照射用燃料の照射目標を達成する炉心を構成する。
 燃料取替計画の作成にあたっては、「ふげん」の運転計画より要求される運転日数(炉心寿命)や燃料の健全性を確保するための熱的制限値についても検討する。また、原子炉起動時の制御棒引き抜き手順や再循環ポンプ切替え後の出力上昇方法、定格運転時の制御棒操作方法等について総合的に考慮している。したがって、各サイクルの燃料取替計画の作成にあたっては、運転実績を考慮した上、数年の炉心管理の経験を有した技術者が、いくつかの計画案を作成し、上記の観点から多角的に検討を行い、最適な燃料取替計画を決定している。2群3次元核熱水力結合コード(POLESTAR)を内蔵している燃料取替計画作成支援システム(FLOPEX)を使用し、燃料取替計画を作成しいる(図6.1.12参照)。燃料取替計画の作成は、GUI化されたFLOPEXシステム上で行っており、炉心管理技術者は、煩雑な入力データの作成を行う必要がなく、燃料取替計画作成の効率化が図られている。燃料取替計画作成手順を図6.1.13に示す。
 作成した計画案については、プロセス計算機のオフライン計算コードである1群3次元核熱水力結合コード(LAYMON)によってダブルチェックを行い、運転上の制限値に対して問題がないことを確認している。燃料取替計画作成に際しての条件を以下に示す。
運転上の制限値
(a)燃料の熱的制限値を満足する。
(b)原子炉の停止余裕を満足する。
燃料管理
(c)燃料の炉内滞在日数を満足する。
(d)燃料の最高燃焼度制限を満足する。
運転計画及び運転制御
(e)発電所の運転計画から要請される炉心寿命を満足する。
(f)分散90度回転対称取替方式を基本とする。
照射炉としての役割
(g)照射燃料の照射目標(線出力密度、燃焼度等)を達成する。
燃料経済性
(h)燃料の有効利用を図る。
 (燃料の取出燃焼度を高める)


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