第6章 「ふげん」の運転実績

帯

6


6.1.4 炉心管理
(1)概要
 「ふげん」の炉心管理は、初臨界から一貫して核燃料サイクル開発機構において実施してきた。これは、炉心管理が、新型転換炉開発によって得られるノウハウそのものであるとの認識によるものである。
 「ふげん」の炉心管理は、取替炉心の安全性を確認し、燃料の健全性を確保することを目的として実施してきた。
 取替炉心の安全性の確認は、各取替炉心の予測解析で確認するほか、最大過剰反応度検査、原子炉停止余裕検査を毎サイクルごとに実施して確認してきた。
 燃料の健全性については、原子炉起動時において、ならし運転(PCIOMR)の概念を適用し、出力上昇率に制限を設けて確保し、また定格運転時においては、燃料の運転上の制限値が守られていることを監視することによって確保してきた。第17回定期検査の調整運転時において、特殊燃料1体が、燃料漏えいを起こしたが、偶発的な原因によるものであり、その他の燃料で漏えいの兆候を示した燃料体は1体もなく、「ふげん」の出力上昇管理基準が、燃料の健全性に対して有効であることが示された。
 「ふげん」の運転は、経済的な運転を目指すだけでなく、照射炉としての役割を果たすことも目的としていた。こうした目的を達成するため、計画の立案から運転、評価までを一体として行う炉心管理を実施してきた。炉心管理の流れを図6.1.10に示す。
 炉心管理は、基本的に、計画作成、実施、評価の繰り返しであるが、「ふげん」は、原型炉であるため、特に運転データの評価は重要であり、その評価結果は、運転方法及び次の計画作成に反映されてきた。計画作成においては、長期の運転計画に従って燃料取替計画を作成するほか、各サイクル起動前に具体的な起動計画が作成される。原子炉の運転段階においては、炉物理試験の実施、運転データの収集を行い、運転時の主要パラメータの監視を行ってきた。運転によって得られたデータは、炉心解析コードを用いて評価・検討が加えられ、必要に応じてコードの改良を行い、予測精度の向上を図ってきた。「ふげん」の運転実績を基にしたコード評価は、新型転換炉実証炉設計コードの精度評価に対して貴重なデータを提供することとなった。
(2)「ふげん」の炉心構成
 「ふげん」の炉心構成を図6.1.11に示す。「ふげん」においては、224体の燃料集合体が、炉心に装荷さ


図6.1.10 炉心管理の流れ図



図6.1.11 炉心構成図


帯
99

前頁

目次

次頁